先日バルカラーコートの着こなし方についてご案内させて頂きましたので、 今回はバルカラーコートは、なぜゆったりしたシルエットで着こなすのか、 その理由をお話しさせて頂きます。 バルカラーコート特有のディテールが、その着こなし方に大きな影響を与えています。 では、順番にご説明していきます。
バルカラーコートは、何故ゆったり着るのか
バルカラーコートは斜ポケット
バルカラーコートがチェスターコートなど他のコートと異なるのが脇ポケットの形状で、 チェスターコートなどは、ジャケットと同じようなフラップ付きの玉縁ポケットが多いのに対し、 バルカラーコートの脇ポケットは斜めに切られた斜ポケットであることが多いです。 このポケットの形状が、コートの意匠に大きな影響があります。 では、どのような影響があるのか具体的にお話しさせて頂きます。
バルカラーコートは胸のダーツがない
脇ポケットの形状が異なると胸のダーツに違いが生まれます。 ジャケットは胸ポケットの数センチ下あたりから腰ポケットの上までダーツが入っていますが、 これがバルカラーコートのような斜ポケットになると、普段ダーツが入る位置にポケットが配置されるので、 型紙上、胸のダーツを入れることができなくなります。 胸のダーツは意匠的な意味合いもありますが、生地を摘まんでウエストをスッキリ見せる効果もあります。 そう考えると、斜ポケットのバルカラーコートはウエスト周りがゆったりすることになるので、 攻めたサイズ感ではなく、リラックスしたシルエットで着るのが自然な流れです。
バルカラーコートにベルテッド仕様が多いのは
バルカラーコートはベルトでウエストを締める
胸のダーツがないバルカラーコートはウエスト周りがゆったりするので、 ベルテッド仕様にして、ウエストにポイントを作ることが多いです。 これも、チェスターコートなどではあまり見かけないバルカラーコート特有のデザインで、 脇ポケットの形状が胸ダーツなしに繋がり、必然的にゆったりシルエットになり、 それを活かす為にベルテッド仕様になる、というように全てが繋がっています。 こうやってひとつひとつ意味を考えていくと、バルカラーコートをゆったりシルエットで着る理由に 合点がいくのではないでしょうか。
バルカラーコートの優雅なフォルムを生むベルテッド仕様
バルカラーコートはリラックスしたシルエットゆえ、ウエストをベルトで締めるとギャザーが現れ、 特有の流麗なフォルムが浮かび上がります。 背の膨らみとウエストのギャザーが相まって、特にバックスタイルは優雅です。 サイズ感は人それそれの好みなので一概には言えませんが、 バルカラーコートはガウンのような感覚で羽織って、優雅でリラックスした雰囲気で着こなすのがお薦めです。
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