オーダーセットアップ

当店が考えるスーツとセットアップの違い

生地の違い

スーツとセットアップでは、適する素材に違いがあります。スーツはフォーマルな服装の為、基本的にはウーステッドと言われる表面が滑らかで光沢のあるウール生地をご紹介させて頂きます。一方、セットアップは、ウールでもシアサッカーやフランネルなど素材感のあるものや、コットン、リネン、ナイロンなど、スーツよりもカジュアルな雰囲気の生地を中心にご紹介させて頂きます。

デザインと仕立ての違い

当店では、軽く柔らかな着心地が特徴のフォーマルなオーダースーツの場合、最小限の芯地などの副資材を使用し、軽く柔らかくお仕立てします。一方、セットアップのオーダージャケットは、芯地・肩パッドなどの副資材を使用せず、より軽やかな雰囲気でお仕立てします。また、ジャケットの腰ポケットのデザインもセットアップではアウトポケットを採用し、スーツよりもリラックスした雰囲気でお作りさせて頂きます。

着こなし方の違い

タイドアップするエレガントな着こなしのスーツに対し、セットアップは上下それぞれを単品使いできるコーディネートの自由度があります。スーツに比べてラペルや着丈のバランスを調整して、より着回しが利く一着にお仕上げさせて頂きます。

オーダーメイドならではの上質な仕立て

仕立ての肝は立体感

当店ではビジネス用のオーダースーツには毛芯や肩パッド、裏地を使用しますが、セットアップスーツのジャケットは、芯地と裏地、肩パッドを使用しないイージー仕立てでお作りします。芯地はジャケットに立体感を出し、保形するのが主な役割ですが、芯地に頼ることなく仕立ての技術のみでジャケットに立体感を出すことは、高い技術を必要とする究極の仕立てと言えます。当店のイージー仕立てのジャケットは、MTM同様の型紙と製作工程でお作りすることで、襟・胸・肩に立体感がありつつ、シャツを羽織るような軽快な着心地がお楽しみ頂けます。ハイクオリティな一着をお届けすることをお約束いたします。

オーダーならではの着心地の軽さとキレイなシルエット

一般的な芯なしのイージージャケットの多くは、肩付近にハの字のシワ(タスキシワ)が入りやすくなります。芯地がないと保形ができないので仕方がない部分ではありますが、高い技術力と入念な仕立てにより、タスキシワを出難く設計しております。さらに、当店のMTMは体型補正の対応範囲が広く、反り身によるタスキシワに対しても的確なアプローチが可能です。細かな体型補正を行うことで、より一層、着心地が軽く感じ、キレイなシルエットをお楽しみ頂けるのも当店のオーダーセットアップスーツの特徴でございます。

襟から前端にかけての柔らかなロール

芯地を使わず仕立ての技術で立体感を表現することで生まれる襟から前端にかけての柔らかなロールが、当店のイージー仕立てのセットアップスーツの最大の特徴です。布一枚を纏う雲のように軽い着心地と南イタリアの洋服を想わせる薫りや色気をお楽しみくださいませ。

TPOに合わせた最適なデザインバランス

ビジネスではラフすぎず堅すぎない

同じ型紙で作成した２体のスーツは、左がイージーセットアップ、右が芯地などを使用したクラシックな仕立てです。当店のオーダーメイドセットアップは、用途に合わせてラペル幅とゴージ位置を調整してお作りさせて頂きます。

セットアップをビジネスでお召し頂くことを前提とした場合、ある程度のクラシックさを残した方がエレガントで、お仕事でお使い頂きやすくなります。その為、当店のセットアップは、ラペル幅をクラシックな仕立てから5ミリ細くし、ゴージ位置は5ミリ高くしてお作りさせて頂きます。これにより、リラックス感を活かしつつもカジュアル過ぎず、テーラードジャケットほどカッチリしていない雰囲気がお楽しみ頂けます。さらに、着丈をクラシックなスーツから0.5㎝～1㎝ほど短く調整して、より軽やかな印象でお召し頂けるようにしております。
※ラペル幅とゴージ位置、着丈は、お好みをお伺いした上で調整させて頂いております。

カジュアルでは堅すぎずラフすぎない

襟なしのインナーやリラックスしたドローコードパンツとの相性を鑑み、カジュアル用のセットアップは、クラシックさを中和してお作りさせて頂きます。タイドアップ用のセットアップよりもラペル幅を1.5㎝細く、ゴージ位置を0.5㎝上げて、堅すぎずラフすぎない印象にお仕上げいたします。
※ラペル幅とゴージ位置、着丈は、お好みをお伺いした上で調整させて頂いております。

ビジカジ対応パンツの新定番

ドローコードパンツ

セットアップスーツの着こなしに、適度な寛ぎ感を取り入れられるドローコードパンツ。ドローコードを中に収納できる仕様になっているので、ベルトを使用してもお召し頂くこともできます。また、ウエストの両サイドのみにゴムシャーリングを配していますので、着用時にゴムが目立ちにくく、ラクチンなのにきれいに見えるのもポイントです。

フロントの顔つきはドレスパンツそのもの

両サイドにシャーリング(ウエストのゴム)を配して目立たなくすることで、正面からのルックスは完全にドレスパンツです。ドローコード(紐)は内側に隠せる仕様になっているので、ジャケットを羽織って両サイドのシャーリングを隠せば商談などオフィシャルな場面でもお召し頂けます。

私のセットアップスーツの楽しみ方

タイドアップスタイル

スーツでタイドアップする時は、適度な脱力感を意識しています。インナーはブルーのシャンブレーシャツです。ドレスシャツの素材は、光沢のあるエレガントなブロードが一般的ですが、リラックス感のあるセットアップスーツには、程好いカジュアル感とドレス感があるシャンブレーシャツが好相性です。タイも同様に、光沢が控えめなシルクをセレクトしています。更にスフォデラート(裏地なし)のタイで軽快さを取り入れています。

ノータイスタイル

ノースタイルをスタイリッシュに見せるため、引き算ばかりではなく、引いた分をどこかで足すことを意識しています。今回は２つ足し算をしています。先ず、タイを引いた分、スカーフを足して、コーディネートに華やかさを添えています。２つ目はシャツをタックインして、パンツのドローコードを見せるということ。ドローコードは締めるという機能的な役割の他、「見せるもの」という役割も大きいと思います。ドローコードが見えるのと見えないのとでは、かなり印象が変わりますよ。是非、シャツをタックインして有効活用してください。

クリースステッチでドレス感を演出

パンツのドレス感を左右するのが「クリース」です。 ドローコードパンツにドレス感を取り入れるディテールとして、クリースステッチをご用意しております。ビジネス然とした履き姿になり、ビジネスカジュアルスタイルとしてお召し頂けます。

ジャケットスタイル

セットアップスーツを軽快に着こなすために、首元、手首、足首の見せ方に気を配っています。首元はシルクのスカーフで華やぎとエレガントさをプラス。そして、手首の見せ方は、ジャケットの袖をまくってバングルや時計で手首にポイントを作ります。足首の見せ方は、パンツの丈を短くします。そうすると、人の視線は自ずと足首に集まるようになるので、合わせる靴に一工夫します。セレクトしたのはサボのようなデザインのシューズ。足の指が見えないので上品で、大人のカジュアルスタイルには取り入れやすいアイテムです。爽やかで清潔感がありつつ、ほんのり色気を感じるスタイルを楽しんでいます。