今日はシューケアについてお話させて頂きます。 日本の靴文化の歴史は浅く、特にシューケア(靴のお手入れ)に関する情報や知識は、 一般的には、あまり知られていないのが現状です。 その為、簡易性ばかりが強調され「塗るだけでツヤが出る」・「スプレーするだけでOK」といった インスタントな商品が基本アイテムかのような、おかしな風潮がまん延しています。 靴は暮らしに欠かす事のできないもので、毎日履くものだから大切にしたいものです。 おしゃれは足元からと言われるように、折角の上質なオーダースーツも靴が汚くては台無しです。 是非、正しいシューケアで、普段のオーダースーツスタイルを輝かせてください。
シューケア(靴のお手入れ)のお話し 靴クリームについて
靴クリームの種類について
「ビン入りの物と缶入りの靴クリームでは、どちらが良いの?」 お客様からよくこんな質問を頂きます。 今回は靴クリームの中で、最もポピュラーな「乳化性(ビン入り)クリーム」と、 「油性(缶入り)クリーム」について説明させて頂きます。 昔、英国ではバッグ保護の為に「ロウ」を塗っていたと言います。 しかし、ロウは水をはじくが革が硬くなり、ひび割れが生じる。 そこで、革の保護の為に「油」を加えたのが、油性クリームの始まりと言われています。 そうだ!!革には水分が必要なんだ・・・ということに気がつき、 油性クリームに「水」を加えることを考えた。 こうして乳化性クリームが誕生したと言われています。
乳化性クリーム
成分は「油」・「水」・「ロウ」。 「水と油は混じらないのでは?」その通りですが、混じった状態を作り出すのは容易です。 家庭でよく使うドレッシング。油は上に分離しています。 ガシャガシャ振れば、油は水に混じりますが振るのを止めるとすぐに元に戻ります。 ここで「乳化剤」(台所洗剤の成分)を加えて振ってみると、振るのを止めても元に戻りません。 これを「乳化」と呼び、水の中に油が散っている状態で、乳化性クリームは、この状態でビンに入っています。 このクリームは、水が入っているのが大きな特徴です。 靴の手入れに必要な「水をはじくロウ」・「革を保護する油」・「ひび割れを防ぐ水」が入った 理想的なクリームです。
油性クリーム
「ロウ」に油を溶かしたもので、簡単に言うと、ロウの塊です。(KIWI<キウイ>クリームが代表的) こればかり使用すると革に栄養と水分が補充されず、通気性も悪くなり靴はひび割れをおこします。
シューケアにおいて理想的なクリームの使い方は
では、ビンと缶 どちらが良いのか?ということですが、 栄養を与えるという意味で、欠かす事の出来ない乳化性クリームをベースにしつつ、 強い防水力・ツヤが欲しい時、雨の降りそうな日などに油性クリームを併用するのが理想です。 「クリーム=油性」と思われがちですが、ビンと缶、それぞれの特性に合わせた使い方をお薦めします。
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