今回はコートの取り扱い方法についてお話しさせて頂きます。 冬のコート素材には様々なものがありますが、代表的なものとして「メルトン」というものがあります。 今シーズンで言うなら、先日ご紹介したDRAPERS(ドラッパーズ)のダブルフェイスのバルカラーコートも、 メルトン素材を使用したコートです。 とてもポピュラーな素材ですので、その取扱いについてご説明させて頂きます。
メルトン素材のオーダーコートの取り扱いについて
メルトン生地とは
取り扱い方法をお話しする前に、そもそもメルトンってどんな素材なの? ということからお話しさせて頂きます。 メルトンとは、縮絨加工して地の組織を毛羽で被った紡毛織物、またはこれに類似する織物、 JIS規格では、このようなに定義されていますが、もう少し詳しくご説明させて頂きます。 メルトンは、タテ糸・ヨコ糸ともに太くて短い紡毛糸を用いてメルトン仕上げという強い縮絨をして、 生地の目を詰まらせると共に、生地の表面が毛羽で被われるような仕上げをした服地のことを言います。
縮絨(しゅくじゅう)とは
生地を湿らせることで目を詰まらせてフェルト状にすることを縮絨と言いますが、 僕たちは日常的に使っている言葉で感覚的に理解していますが、それだと説明不足なので、 コトバンクに記載された説明文をいかに転載します。
縮絨(しゅくじゅう) 毛織物の仕上げ工程の一。水で湿らせて熱・圧力を加え、長さと幅を縮めて組織を密にすること。
メルトン生地の由来
メルトンという名称はイギリスの地名に由来する説と、仕上げ法を発見した人の名に由来する説があるようで、 いずれにしても、イギリスで始めて作られた毛織物です。
メルトン生地の特長
縮絨して生地の目を詰まらせてあるメルトンは、風を通しにくいのでコート生地に適した保温性があり、 同じような素材のフランネルに比べると厚手なので、メルトンの方が圧倒的に保温力があります。 反面、フェルト状なので生地表面に埃が付きやすい性質も持っています。
メルトン生地のコートの取り扱い方法
生地表面がフェルト状なので埃などが付着しやすい為、着用後には馬毛や豚毛のブラシでブラッシングして、 コートに付着したゴミや埃を取り除いて頂くことをお薦めします。 1日着用したコートには目には見えなくてもゴミや埃が付着していますので、 そのままにしておくと長い目で見るとコートが劣化しやすくなります。 また、着用後は直ぐにクローゼットに入れず、風通しの良い場所でコート内の湿気を取り除いてから、 クローゼットに保管して頂くのが良いと思います。
コートにも休息が必要
スーツやジャケットは週1~2回着用する間隔でローテーションなさっていると思いますが、 コートも全く同じ考え方で、連日の着用は避けて頂くことをお薦めします。 着用時間や頻度にもよると思いますので、スーツやジャケットほど神経質に考える必要はないと思いますが、 やはり、コートにも適度な休息を与えて頂いた方が長持ちするのは確かです。
オーダースーツなど、ケアに関する他のコラムはこちら
上質な生地で仕立てたオーダースーツの取り扱いについて
スーツ・ジャケットなど衣類の収納方法
デニムのメンテナンスについて
汗の季節の衣類ケア スーツ・ジャケット
スーツ、ジャケットなどのクリーニング シミ抜きについて
ドレスシャツのクリーニングについて
レザーウェアのお手入れについて
オーダースーツの最適な保管方法について
革靴の保管のお話