シャツの洗濯やクリーニングについてお困りの方は多いのではないでしょうか。 お気に入りのシャツをクリーニングに出したら縮んでしまったという経験はないですか? 今回は、シャツのクリーニングについて、お話させて頂きます。
ドレスシャツのクリーニングについて
シャツが縮む理由
シャツには、「襟」と「カフス」と「前立て」の3箇所に『芯地』が使われています。 そして、縮みが起きる箇所は、ほとんどが「襟」か「カフス」か「前立て」です。 芯地はシャツのシルエットを維持する為などに用いられる副資材ですが、 縮みを引き起こす原因にもなる副資材です。 そして、この「芯地」には、縮むものと縮まないものがあります。 更に、クリーニング方法によって縮み易い方法と縮み難い方法に分けられます。
シャツの芯地
接着芯
表地に接着樹脂を使って接着してあるもので、 安価なシャツや、機械化による合理化が進むアパレルの生産現場では広く普及しています。 襟の裏側をつまんでみて、芯地と表地も一緒に引っ張られたら接着芯が使われている証拠です。 ※縮むシャツのほとんどは接着芯が使用されています。
フラシ芯
接着剤を使わず縫製のみでつける芯地を「フラシ芯」と言います。 高度な技術が要求されることから高級シャツに使用されるケースが多いです。 襟の裏側をつまんでみて、表生地のみをつまむことができればフラシ芯が使われている証拠です。 ※ルイジボレッリのシャツは、フラシ芯を使用しています。 ※フラシ芯はデリケートなので、洗い方がキツイと縮んでしまうので注意が必要です。
シャツのクリーニング方法
機械仕上げ
クリーニング店で、ワイシャツとして扱われるメニューです。 大量のシャツをまとめて50度~60度で長時間洗い、濡れた状態で機械プレスして乾かします。 シャツが縮む原因は、洗う時間・水温・プレスの温度が大きく影響し、 洗う時間が長いほど、水温やプレスの温度が高いほどシャツは縮みます。 大量のシャツを早く仕上げるには、プレス温度を高くする必要があるので、 この方法で接着芯のシャツをクリーニングした場合、大幅に縮むことも考えられます。
手仕上げ
クリーニング店の、手仕上げ・デラックス仕上げというメニューです。 洗浄後、濡れた状態のシャツをプレス機ではなく手アイロンで丁寧にプレスする方法です。 基本的には、ご家庭でネットに入れて洗って頂くことをお薦めしますが、 シャツをクリーニングに出す際は、必ずこの方法を指定してください。
機械仕上げと手仕上げの違い
手仕上げ
アイロンによる「手仕上げ」は、形を崩さない程度に生地を引っ張りながら滑らせるように仕上げます。 つまり、「手仕上げ」であれば生地を手で引っ張ることで張りを持たせ、 その状態でアイロンをかけることでシワをとります。 またアイロンと生地が接する時間がプレス機と比較すると短いので収縮が起き難いです。
機械仕上げ
一方、「機械仕上げ」は、プレス機にシャツを固定して上から押し付けるように仕上げます。 シャツを機械に固定してプレスするので、作業を行うスタッフが適切にセット出来ていなければ、 襟やカフスにシワが寄り、更にプレス機の熱により芯地が収縮しシャツが縮む可能性が高まります。
濡れがけプレスの繰り返しによる縮み
クリーニングにおけるシャツの仕上げは「作業効率」を良くする為、 襟とカフス部分にアイロンを使わずにプレスする「三つ山プレス機」を用いる 「機械仕上げ」が多く見られます。 プレス機の仕組みは、洗浄後濡れた状態のシャツの襟とカフスを機械にセットして、 上から熱と圧力でプレスします。 濡れた状態で行うプレスの繰り返しによって徐々に収縮が進み、 最終的に数センチの収縮が生じることになります。
プレス機を使用しても「収縮しないお店」と「収縮するお店」
プレス機が芯地に与える影響はクリーニング業界内でも知られており、 対策を講じているお店もあれば対策をしていないお店もあるなど、お店によってバラつきがあります。 メンテナンス頻度や作業するスタッフの技量などが影響する為、店選びのバロメーターにもなります。 このようにシャツの縮みは、芯地と機械による影響が原因と考えられます。
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