薄着になる夏場はシャツ一枚になるケースも多いと思います。季節的に致し方ないことですが、物足りなさを感じることもあると思います。オシャレを楽しむという意味では、リネンのシャツやTシャツの上にサッと何か羽織りたくなる時ってありませんか? そんな時に便利なのがシアサッカーのセットアップスーツです。今回はおすすめのシアサッカー生地と仕立ての方法、着こなし事例をご紹介します。是非、夏の装いにプラスオンしてオシャレを楽しんでください。
シックに装える都会的なウールシアサッカー
コットン素材に代表されるシアサッカーはリゾート風の白ベースのストライプ柄が一般的で、日常の街着やビジネスには不向きなイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。しかし、近年ではネイビーなどの落ち着いたカラーが台頭して日常使いしやすくなりました。なかでも私のおすすめは都会的で落ち着いた雰囲気を放つブラウンのウールシアサッカーです。しかも、普通のウールではなくsuper150'sにシルクを10%ブレンドしたラグジュアリーな逸品です。生地の目付けは180gと異次元の軽さで、ウールとシルク特有の吸水性と吸湿性が加わって、とにかく軽くて涼しいです。尚且つ、ウールの伸縮性があるのでシワにも強くて復元力があります。 以下でこの生地の特徴について詳しくお話します。
清涼感
シアサッカーは生地の表面にシボによる凹凸があるので肌離れが良く涼しい素材です。ご紹介の生地はウールとシルクを混紡することでその特性を最大限に活かしています。ウールの吸湿性はコットンの2倍。通気性にも優れているので夏でもサラッと快適に着られます。加えてシルクには綿の1.5倍の吸水性があるので、汗をかいても肌表面はシルクの放湿性でベタつきを抑えることができます。その上、どちらも熱伝導率が低い素材なので外気の暑さを感じにくいという特徴を持っています。それゆえこの素材の場合、ジャケットを羽織って肌を保護した方が、Tシャツやポロ一枚よりも涼しく感じることもあると思います。ウール&シルクのこのシアサッカーはとにかく圧倒的に涼しいです。
シャツ生地に匹敵する圧倒的な軽さ
一般的な春夏の生地は230グラム前後が多く、サマーツイードなどは300グラム前後が中心です。そんな中、この生地の目付けは180グラムです。ポプリンなどの定番のシャツ生地が190グラムほどなので、正にシャツ生地に匹敵する驚異的な軽さです。着ている感覚がないくらいずば抜けて軽いジャケットに仕上がります。この『圧倒的な軽さも』涼しさを感じる大きな要因です。
ウール特有の防シワ性
夏に汗を掻くと洋服がシワになりやすくなりますが、そんなときでもウールのシアサッカーなら安心です。ウールは復元力がある素材なのである程度のシワなら自然に回復しますし、スチームを当てればシワのない元の状態に戻ります。これらの特徴に加え、そもそもシアサッカーは表面にシボによる凹凸があるのでシワが目立ちにくく、シワになったとしてもあまり気にならない素材です。ストレスなく気楽に着られるので気分的にもリラックできます。
薄くて軽い軽快な仕立て
近年はシャツ生地で仕立てた軽快なシャツジャケットを多く見かけますが、私のおすすめはシャツの延長線上のジャケットではなく、シャツのような軽い着心地のジャケットです。圧倒的に軽いこの素材の特徴を最大限に味わえるおすすめの仕立て方法をご紹介します。
芯なしの超軽量仕立て
180グラムという生地の軽さと涼しさを堪能できるのが芯地と裏地、肩パッドを使用しない軽量仕立てです。副資材を使用しないので正にウールシアサッカー生地一枚を纏っている状態です。芯地にはジャケットに立体感を出し保形する役割がありますが、あえて廃することでこの素材が持つ軽さや通気性を存分に味わうことができます。風に揺らめくほど薄く軽く仕立てることにこだわっています。
私自身もこの生地で仕立てたセットアップスーツを着用していますが、ジャケットは着ている感覚がないほど軽く風通りも抜群です。ウール特有のサラリとした肌触りと相まってめちゃめちゃ涼しいです。稚拙な表現かもしれませんが、これが私の本心で最初に着た時はあまりの快適さにびっくりしました。夏になると毎日でも着たくなります。
仕立ての技術で立体的に
芯なしのジャケットはどうしても平面的になりがちです。既製品で目にするカジュアルな芯なしジャケットやシャツジャケットの類は立体感よりも軽さや気軽さに重きを置いて作られているように思います。その気楽さも魅力的ですが、当店は芯なしのイージー仕立てであっても仕立ての技術のみで立体的に仕上げることにこだわっています。襟・胸・肩に立体感がありつつ、シャツを羽織るような軽快な着心地がお楽しみ頂けます。※当店のイージー仕立ての詳細はこちらでご覧いただけます。
圧倒的に涼しい袖裏なし
裏地には滑りを良くすることやシワの軽減、表生地の保護といった役割がありますが、より涼しさを求めるなら袖裏(袖の裏地)をなくすことも一案です。裏地をなくすと腕に風が通るのでかなり涼しく感じます。素材の特徴を最大限味わえるディテールとしておすすめです。
ドローコードパンツ
セットアップスーツの着こなしに、適度な寛ぎ感を取り入れられるドローコードパンツ。ドローコードを中に収納できる仕様になっているので、ベルトを使用することもできます。加えて、両サイドにシャーリング(ウエストのゴム)を配して目立たなくしてあるので正面からのルックスは通常のスラックスのように見えます。オフのリラックススタイルから仕事時のビズスタイルまで幅広く活用できるデザインです。お好みで両脇のゴムなしでお作りすることも可能です。
ウールシアサッカーのセットアップスーツ コーディネート事例
コーディネート自在で様々な場面で着用できるのもこのウールシアサッカースーツの魅力です。スーツは勿論、上下単品使いも可能な上、ビジネスから休日のカジュアルなスタイルまで幅広く楽しめます。ここではリゾート風ではなくダークトーンを用いた都会的なコーディネートの一例をご紹介します。
カジュアルなスーツスタイル
リラックスした雰囲気で着こなすならリネンシャツが気分です。例えばブラックのリネンシャツにレザーサンダルを合わせるカジュアルなスーツスタイルはいかがでしょうか。リゾーティーなスタイルですが、スーツがダークトーンのウールシアサッカーなので程よいドレス感があります。合わせるアイテムをブラックに統一することでモダンな雰囲気になるので街着として日常に溶け込みます。
リラックスしたジャケットスタイル
よりリラックスして着こなすならジャケットを単品使いするのもおすすめです。ボトムにはネイビーのコットンスラックスをセレクトし、ブラックのリネンシャツとレザーサンダルで引き締めると脱力しつつも色気のあるスタイルが楽しめます。
ウールシアサッカースーツ 私のタイドアップの楽しみ方
カジュアルなコーディネートをご覧いただいたので、私のタイドアップスタイルの楽しみ方をご紹介します。タイドアップする際もカッチリしすぎないように、ブルーのシャンブレーシャツにヒラヒラと風に揺らめく裏地なしのスフォデラートのタイを合わせています。足元はコンビのビットローファーを合わせて脱力した雰囲気を楽しんでいます。
ドローコードは締めるという機能的な役割はありますが、個人的にはデザインの一部として「見せるもの」と考えています。ウエストからベルトが見えるのかドローコードが見えるのかでかなり印象が変わりますよ。私はドローコードを見せることで寛いだ雰囲気を楽しんでいます。
ご紹介の生地はシアサッカー特有の肌離れの良さにウールとシルクの快適さが加わり、圧倒的に快適な素材に進化しています。ウールならではの落ち着いた風合いとシックに装えるダークカラーなので、コットンのシアサッカーだとちょっと・・・、という方も、ウールのシアサッカーならカジュアル過ぎず、ドレッシー過ぎずで使いやすいと思います。暑くなる季節はオンもオフもこれでキマりですね!夏場に何か上に羽織りたいとお感じの方、涼しいジャケットやセットアップスーツをお探しの方にはお役立ていただけると思います。是非お気軽にお問い合わせくださいませ。