ビジネススタイルの自由度が高まる中、選択肢はスーツ一択ではなくなりました。ジャケパンはもちろん、夏場にはTシャツやポロ姿で仕事をする人も散見されるようになりました。それは、スーツをファッションとして楽しみやすくなったことでもあり、今までとは違う生地や色のスーツにチャレンジできるチャンスだと思います。スーツ=ビジネス、だけではなく、休日ファッションのアイテムとしても積極的に活用したいものです。とは言え、どんなスーツをワードローブに取り入れるべきか迷ってしまう方もいらっしゃるかと。そこで今回は 私が選んだスーツを着こなしやディテールとともにご紹介させて頂きます。
コットンソラーロスーツはオンオフの二刀流
私は毎シーズンスーツを2~3着はオーダーしますが、今シーズンは久しぶりにコットンスーツを作りました。セレクトしたのは、カチョッポリのコットン100%のネイビーソラーロ。一般的なコットンとは違い、ソラーロはタテ糸とヨコ糸の色が異なります。2色の糸を用いて織り上げられていて生地の表と裏で色が違います。光の当たり具合や体の動きによって裏面の色が表に浮き出てくる幻想的な雰囲気を持つコットンです。玉虫特有の光沢が引き立ってエレガントですし、艶っぽさもあるのでドレッシーに着こなせます。そして、コットン特有のシワ感を活かしてノータイスタイルもキマります。コットンソラーロのスーツは、ドレッシーさと軽妙さのバランスが絶妙で、インナー次第でオンオフ問わず自在にお召し頂けます。また、コットンソラーロのスーツはウールスーツにはない軽快な色使いも魅力です。私が選んだネイビーソラーロはデニムのような色の落ち感とクリーンな色出しが特徴で、さり気なく個性をアピールできます。かしこまりすぎないトーンなのでカジュアルにも着回しやすい色目です。
コットンソラーロスーツ×シルクタイでサラリと華やぐ
ウールに比べて開放感のあるコットンスーツはニットタイなど素材感のあるネクタイと相性が良いですよね。私もその合せは好きですが、合わせるネクタイの範囲が狭まってしまいコーディネートがマンネリ化しがちだと感じていました。その点、コットンソラーロのスーツは適度な光沢があるのでドレッシーなシルクタイとも相性がよく、コーディネートの幅がグッと広がります。コットンソラーロスーツにドレスっぽさを与える意味でクレリックのタブカラーシャツにシルクタイを合わせてエレガントさと華やぎを添えています。
ドレスアップはシャツでも遊ぶ
この着こなしの個人的なポイントはクレリックのタブカラーシャツを合わせているところです。コットンスーツのタイドアップは抜け感がポイントで、その役目を白襟が担ってくれています。一方で抜け感を作った分、タブカラーのタイトな襟元で印象を引き締めてバランスを取っています。とても分かりづらいポイントですが、誰も気が付かないような僅かな違いを楽しんでいます。
ノットは小さくキュッと絞める
襟元がタイトに決まるタブカラーのシャツにキュッと絞め込んだ小さめノットのタイ合わせるのが今の気分です。シルクタイをキュッと絞めてフワッと広がる様がとてもエレガントです。タブでネクタイのノットが持ち上がるので立体的で躍動感のあるVゾーンになります。スポーティーなコットンスーツと対極にあるエレガントなVゾーンですが、このギャップをお楽しみ頂けるもコットンソラーロスーツの魅力だと思います。
クラシックなのにモダンに見えるスラックス
コットンソラーロは適度なドレッシーさがあるので、ベルトレスでクラシックな雰囲気にお仕上げいただくのもおすすめです。私はサイドアジャスターでウエストを軽く調整し、サスペンダーなしで楽しんでいます。クラシックなデザインですが、ベルトもサスペンダーも使わないので腰廻りがスッキリしてどことなくモダンな雰囲気がお楽しみ頂けると思います。サイドアジャスター付きのベルトレスパンツはイタリア人が好むスタイルなので、イタリアっぽいクラシックなスタイルがお好きな方は是非トライしてみてください!そして、クリースラインにはステッチを入れています。ラインが消えないのは勿論ですが、ステッチが入ることで膨らみ感が出るので、パンツに立体感が生まれてシルエットがキレイに出ます。
JOEWORKSのローファーで足元に抜け感を演出
オンスタイルの足元は、JOEWORKSのブラックローファーを合わせています。カジュアルな雰囲気の外羽根デザインでも良いと思いますが、サッパリした印象に仕上げたかったのでローファーを選びました。「グリフレザー」という爪で引っかいたような跡があるユニークな革を使っているところもポイントです。
華やぎ足しでスーツを楽しむ
着こなしに遊びを加えて頂けるのもコットンソラーロスーツの良さだと思います。私は時計のカラーベルトをブレスレット感覚で付けて楽しんでいます。着こなしにアクセントカラーを取り入れられるのもコットンソラーロスーツの懐の深さです。どこか1点に華やぎ足しでスーツの着こなしをお楽しみ頂いてはいかがでしょうか。
コットンソラーロスーツのドレスダウンはワントーンで
ネイビーのコットンスーツにネイビーポロを合わせたワントーンコーデ。ドレスダウンスタイルは色数を絞ってシックに着こなして頂くと、ビズスタイルとしては勿論、ゴルフの行き帰りや食事に出かける時、馴染みのバーでお酒を楽しむ時など、様々な場面でお召し頂けると思います。インナーのポロは台襟付きのデザインをお選び頂くと上品な印象になります。一般的なスポーツポロは台襟がないのでスポーティーな要素が強くなってしまうので、是非、台襟付きのポロを選んでみてください。当店では台襟付きポロのオーダーも承っておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
スーツで遊ぶ着こなしのひと手間
ポロの胸元のボタンは3つ開け、さらに襟をジャケットの上に出して開放的に。台襟付きなので襟がキレイに開いて軽やかな印象です。Vゾーンが大きく開くので首元にシルクのプリントスカーフをあしらって、エレガントな雰囲気を楽しんで頂くのもおすすめです。顔廻りが明るくなり、若々しい印象で着こなして頂けますよ!ジャケットにポロは定番の合わせですが「襟出し&スカーフ」のひと手間だけでスーツで遊んでいるムードが漂います。
足元はスエードにして軽さを
リラックススタイルの足元はブラックスエードのローファーを合わせています。芯なしのリラックスした作りで足元にも抜け感を出しています。これは私物の既製靴ですが、オーダー靴とは違った魅力があるのでオーダーで仕立てたスーツと組み合わせて着こなしを楽しんでいます。
コットンスーツこそ上質な仕立てで
差別化に繋がるラペルの穴
当店のMTMは、ボタンホールをハンドでお仕上げすることも可能です。私はフラワーホールをハンドで仕上げました。これはティアドロップボタンホールというもので、ナポリ地方によく見られる技法です。特殊な芯糸を用いることで立体的で動きのある襟穴になります。襟はジャケットの顔で人の視線が集まるので、ここにハンドのアクセントをお入れ頂くだけでもスーツの表情が変わります。さり気なく違いをアピールするのもおすすめです。
肩周りの雲上の軽さ
今回の私のスーツでは、試験的に新しい袖付けの手法を試してみました。袖付けのポイントやイセ量を変えて肩先のギャザーと袖の膨らみ感を強調してハンドで袖付けをしたような艶っぽい雰囲気に仕上げてあります。手仕事の温もりをお楽しみ頂けるほか、手が前に出しやすくなって今まで以上に快適な着心地を味わって頂けるように取り組んでいます。今後、当店のMTMに採用予定ですので、どうぞご期待くださいませ。
ドレッシーな着こなしにハマる上質な仕立て
カジュアルなイメージのコットンスーツは簡略化した仕立てで作られる場合が多いですが、当店のコットンスーツはフォーマルなスーツ同様の製作工程でお作りすることで上質な仕立てを貫いています。軽く柔らかな着心地と曲線的なフォルムを大切にしています。ご覧のようにジャケットのフロントは柔らかくロールさせています。写真では着心地まで正確にお伝えすることは難しいですが、ふんわりした折り返りをご覧いただくだけでも着心地の軽さをご想像いただけるのではないかと思います。
カチョッポリのコットンソラーロのご紹介
私がセレクトしたのは、ナポリのマーチャント、カチョッポリのコットン100%のネイビーソラーロ。やや青みがあるネイビーはナポリの太陽や海を連想させ、夏に着たくなります。カチョッポリはネイビーからブルーの色出しがとてもキレイなメーカーなので、ブルー系のソラーロは得意とするところです。コットンソラーロは一般的なコットンとは違い、タテ糸とヨコ糸の色が異なります。2色の糸を用いて織り上げられていて生地の表と裏で色が違います。光の当たり具合や体の動きによって裏面の色が表に浮き出てくる幻想的な雰囲気を持つコットンです。コットン100%とは思えない光沢があり、スポーティーな素材ながらエレガントな雰囲気も兼備しています。 ネイビーとグレーの糸を使用したソラーロで、ネイビーがベースなのでビジネスでも使いやすく、 セットアップスーツに仕上げると春夏のスーツスタイルの着こなしの幅が広がります。春夏のカジュアルなアンタイドスタイルとも相性が良い素材です。
Caccioppoli Cotton Soralo
コットン100% 270g
オンでもオフでも活躍するコットンソラーロのスーツは、今どきビジネスマンの頼れる一着です。 堅苦しすぎないタイドアップスタイルを楽しみたい方や上品な休日ファッションを楽しみたい方にもおすすめできる一着です。カジュアルなビズスタイルが増えつつある今こそ、ワードローブに取り入れてみてはいかがでしょうか。是非、お気軽にお問い合わせくださいませ。