オーダー頂いたネイビーヘリンボーンのスリーピーススーツが仕上がりましたのでご紹介します。シンプルな色柄のスーツほど、スーツそのものの良し悪しが如実に表れるものですが、これは、柄や色のインパクトで誤魔化しが利かないからだと思います。逆に考えれば、シンプルな色柄のスーツほど、実は圧倒的に周囲と差別化できることになり、良い意味で視線を集めて、「流石だな!」と思わせることが出来ます。今回ご紹介するネイビーヘリンボーンのスリーピーススーツは、正にそんな1着で、一見すると普通なんですが、静かに主張する様は服好きの皆さんの心を捉えると思います。
オーダースーツ DRAPERS "FIVE STARS" (ドラッパーズ・ファイブスター)
イタリアのテーラーを魅了するスーツ生地
ドラッパーズのファイブスターというコレクションから、ネイビーのヘリンボーンをセレクト。このコレクションは、ドラッパーズの定番で10年以上、クオリティを変えずに展開されていました。日本のみならず、ヨーロッパ、特にイタリアのテーラーでファンの多いスーツ生地です。イタリア製生地としては重めの370gという目付で打ち込みがしっかりしているので、シワになり難く抜群の耐久性があり、尚且つ、型崩れしにくく仕立て映えします。英国生地のようなハリコシを持つ生地ですが風合いは対照的で、重すぎず硬すぎず絶妙な塩梅です。
スーツに艶を与える光沢と発色
ハリコシを持ちながらソフトな風合いに仕上がっているのは、双糸使いにせず糸を太くすることで英国タッチを表現しているからです。それゆえ、ハリコシがありながらもイタリア生地らしい柔らかさとキレイな発色が活かされています。
太糸使いでイタリア生地の新境地を開拓
通常、英国生地はタテ糸ヨコ糸とも双糸を使ってしっかりした打ち込みで織り上げます。糸の本数が多く高密度で織り上げるので、英国生地はシワに強く型崩れし難いんです。そして、タテヨコ双糸使いすると生地の発色は抑えられると言われています。英国生地が機能的で、どっしりしていて、落ち着いた色目が多いのはこういった理由です。一方でイタリア生地は、タテ糸に双糸・ヨコ糸に単糸を用いて織るのが一般的です。英国生地と比べると糸の本数も少なく、高密度ではなく甘く織り上げます。だから、イタリアの生地はソフトタッチで軽く、発色がキレイなんです。この生地は、英国生地の風合いと機能を再現しつつ、イタリア生地特有の滑らかさや艶、発色の良さを兼備したイタリアと英国のハイブリッド的な特徴を持っています。
21マイクロンとはどのぐらいの太さなのか
使用する糸は21マイクロンという太さで、これはスーツ生地としてはかなり太い糸になります。マイクロンとは繊維の太さを表す単位で、数が小さいほど繊維が細くなります。これだけだと、よく分からないので、一般的に使われている服地と比較してお話しします。 先ず、一般的に高級スーツに使われることが多い素材からご説明します。高級スーツに用いられるウールは、スーパーエクストラ ファインメリノと呼ばれるもので、太さは16.5~17.5マイクロンぐらいです。次に、ウールのコートに使われることが多い素材。ウールコートには、ミドルメリノと呼ばれるものが多く用いられていて、太さは20~22マイクロンです。
イタリア目線の英国生地
あえて21マイクロンというコートに近い太さの繊維を使用することで、生地に耐久性とハリコシを与え、さらに、イタリア生地特有の滑らかさと光沢が完璧に表現されています。この唯一無二の素材感は、服好きの人の心に刺さる筈です。
軽快なナポリ仕立て×ヘビーウエイトの生地
生地に張力があるので、軽く柔らかな仕立てでも胸のボリューム感やナチュラルな肩など、丸みをキレイに表現できます。軽やかなナポリ仕立てにヘビーウエイトの生地を組み合わせるのは、これからのスーツの大きな流れになります。派手さこそありませんが、ファイブスターシリーズは服好きが唸るコレクションです。
Bespoke Suit(オーダースーツ) スタイリング詳細
Bespoke Suit(オーダースーツ) : fabric by DRAPERS(ドラッパーズ) Bespoke Shirt : LES LESTON (レスレストン) Tie : Francesco Marino (フランチェスコマリーノ) Chief : MUNGAI (ムンガイ)
Bespoke Suit(オーダースーツ) 他のオーダー実績はこちら
Bespoke Suit(オーダースーツ) Bespoke Jacket(オーダージャケット) Bespoke Coat(オーダーコート) Bespoke Shirt(オーダーシャツ) Bespoke Shoes(オーダーシューズ)