ブラックスエードの柔らかな表情が目を引く一足。ジャヌスカーフ特有のニュアンスある色合いと、こだわりのディテールが凝縮されたローファーです。 オーダーくださったお客様は、お仕事でのジャケパンスタイルから休日のカジュアルまで、オンオフ問わず愛用できる靴を探されていました。2025年1月に開催したJOE WORKSの受注会にて、理想のスタイルとライフスタイルを掛け合わせながら形にしていった、こだわりの一足をご紹介します。
オンオフをつなぐ、ブラックスエードのローファー

アッパーはブラックスエードをご検討でしたので、今回は「ジャヌスカーフ」と「スーパーバック」の2種類をご紹介しました。 お選びいただいたジャヌスカーフは、イギリスのチャールズ・F・ステッド社が誇る名作スエード。毛足に程よい長さがあり、なめらかな質感が特徴です。黒が強く出すぎず、光の当たり方でどこかグレーがかった柔らかな表情を見せてくれます。奥行きのあるトーンだからこそ、足元に程よい抜け感が生まれます。 この独特の色のニュアンスが、お客様の「オンオフ兼用」というイメージにぴったりと重なりました。JOE-6の丸みを帯びたフォルムの愛らしさを保ちつつ、きれいめなカジュアルスタイルからジャケパン、さらにはスーツのドレスダウンまで。これ一足で、幅広いコーディネートを自由に楽しんでいただける一足です。
個性が光りつつ、上品にまとまったシボ革のコンビネーション

サイドとサドルには、それぞれ表情の異なるシボ革を使い分けています。 サイドには、柔らかさの中に程よいコシを感じるアリゾナを。そしてサドル部分には、ベースがラスティカーフで非常にしなやかなグリフレザーをセレクトいただきました。異なるシボ感を持つレザーのコンビネーションも、さり気なく上品にまとまりました。 私自身、この質感の違いがどのように形になるのか仕上がりを楽しみにしていましたが、実物を目にすると非常にスッキリとした印象です。個性を感じさせながらも、日々のコーディネートに自然と馴染む魅力があります。 この組み合わせ、実は見た目だけでなく履き心地の面でも非常に理にかなっています。ローファーは構造上、どうしても甲の部分に圧力がかかりやすいのですが、サドルにこの柔らかなグリフレザーが配されたことで、結果として甲への当たりがとてもソフトな仕上がりになりました。 「デザインのこだわりが、機能的なメリットにも繋がった。」そんなオーダーならではの嬉しい発見がある一足です。
モカ縫いで変わるローファーの表情

JOE WORKSのローファーでお選びいただけるモカ縫いは、「スキンステッチ」「乗せモカ」「パンチモカ」「ハンドモカ」「落としモカ」「拝みモカ」の6種類あります。 このモカ縫いの種類によって、靴の印象はガラリと変わるもの。一つひとつ個性が違うので、どれにするか選ぶ時間もオーダーならではの楽しさです。その中から今回は、モデル「JOE-06」のみで製作可能な「拝みモカ」をお選びいただきました。 モカ縫いの中でもスタンダードな仕様ですが、アッパーに立体感が備わり、靴全体に豊かな表情が生まれます。
細部に宿るオーダーの愉しみ「サドル窓」の選択
サドルの窓についても、全体の柔らかな雰囲気に合わせて「丸窓」を選択されました。 実は、JOE WORKSのローファーはこの窓の形状一つとっても、半丸にするか、あるいは別の形にするかといった選択が可能です。 わずかな形状の違いですが、ここをシャープにするか丸みを持たせるかで、仕上がった時の靴の「表情」は微妙に、それでいて確かに変わります。今回は、ジャヌスカーフの優しい質感や拝みモカの曲線美との相性を考え、この丸窓を組み合わせています。 こうした細部に至るまで一切の妥協なく自分好みを追い込める。単にサイズを合わせるだけでなく、一つひとつの選択が理想の形に集約されていくプロセスこそ、オーダーローファーの醍醐味といえます。
こだわりのソール仕様
ソールについても、こだわりの仕様を反映しています。 JOE-6のローファーは、通常は出し縫いの糸が見える「オープンチャネル」が基本仕様ですが、今回はお客様のご要望に合わせて、縫い糸を隠す「伏せ縫い(ヒドゥンチャネル)」で仕上げました。立っている時には隠れてしまう場所ですが、歩き出した瞬間にちらりと覗く底面の美しさは、履く人の気分を静かに高めてくれます。こうした細部まで自分好みを反映できるのも、オーダーならではの醍醐味です。
受注会当日

お仕事でもカジュアルな装いが多いO様にとって、今回のテーマは「オンオフの境界線なく愛用できる一足」でした。受注会当日は、候補に挙がっていたローファーとチェルシーブーツのサンプルをどちらもご用意。同じラスト(木型)であっても、デザインが異なれば足へのフィット感も変わってきます。その微妙な履き心地の違いを、実際にサンプルのご試着でじっくりとご確認いただきました。 チェルシーブーツか、それともローファーか。 どちらにしようか二人で悩まれている様子は、まさにオーダーならではの光景です。最終的に、お子様がまだ小さく、日常での「脱ぎ履きのしやすさ」も大切なポイントということで、機能性とスタイルを兼ね備えた『JOE-06』のローファーにお決めいただきました。
採寸&フィッティング
駒澤氏による採寸を行い、お客様の足の特徴について作り手の目線から詳しくお話をさせていただきました。 O様は、身長に対して非常にほっそりとした足型をお持ちです。こうした特徴を持つ方にとって、靴選びの最大のポイントは「甲でしっかりとホールドされるフィット感」にあることをお伝えし、フィッティングを進めていきました。
あえてレースアップを履き比べる最適なサイズ調整
紐で羽根の開きを微調整できるレースアップシューズとは異なり、ローファーにおいて「甲の収まり」はとても重要です。甲がタイトすぎれば足が入らず、無理に入れれば踵を痛めてしまう。逆に緩ければ、歩くたびに踵が抜けたり、足が前方へ滑って指先を圧迫したりといったトラブルを招きます。理想のサイズを導き出すため、今回はJOE-6のローファーとレースアップ、さらにJOE-0のローファーなど、計3種類のサンプルでサイズ7と7.5を交互に履き比べていただきました。あえてレースアップを試着いただくのは、羽根の閉じ具合を見ることで、甲の状態を把握し、より的確な調整の指針とするためです。
素材による微差まで見極める
同じ木型であっても、素材が変われば足当たりも変化します。そのため、スエードとスムースレザーの両方でサイズ感を確認しました。O様のように幅の細い足型の方は、甲のわずかな緩みが指の当たりに直結するため、納得がいくまで念入りにフィッティングを行いました。 最終的に「少し甲が当たって痛くなりそう」という繊細な感覚をお聞きすることができました。 フィット感は担保しつつ、甲の骨への当たりを絶妙な加減で緩和するよう調整を加え、お作りさせていただきます。
プロの視点でお話しする私物のフィッティング相談

一通りの採寸を終えた後、O様がご持参された私物のシューズについてもフィッティングのご相談を承りました。他店でオーダーされたシューズの甲が緩いとのこと。ご自身でライニングを自作して調整を試みられるなど、大切に履かれている様子が伝わってきましたが、それでもなお解消されないお悩みをお持ちでした。現物を拝見した駒澤氏は、その靴の個性を踏まえたアドバイスをさせていただきました。そのローファーはサドル(ベルト)の位置が前方に設定されているデザイン。そのため、足が前へ動きやすい構造であることを丁寧にお伝えしました。調整のアイデアとして、全体に厚みのあるインソール(中敷き)を敷いてしまうと、今度はつま先が窮屈になってしまいます。そこで、「前方を薄く、中央部を厚くすることで、指先のゆとりを維持しながら足を理想的な位置で留める」という、プロならではの具体的なアプローチをご案内しました。実際にその場でインソールを差し込み、変化した履き心地を体感していただきました。新しく作る一足だけでなく、今お手元にある靴の悩みに対しても、専門的な見解を直接聞くことができる。これも駒澤氏をお招きして開催する受注会ならではの醍醐味です。
仕上がりご着用:フィッティングとお客様の声

ちょうどご注文品の仕上がりと次回の受注会が同じタイミングでしたので、駒澤氏によるフィッティングの最終確認を行うことができました。 当初の打ち合わせから一貫してテーマとなっていたのは、O様のほっそりとしたお足に合わせた「甲のホールド感」です。サンプル履き比べで見極めたデータを元に、甲の当たりを和らげつつも、緩みのないフィット感を追求してお作りしました。 実際に足を入れていただいたところ、懸念されていた痛みもなく、甲が心地よく収まっていることを確認できました。仕上がりを大変気に入ってくださり、その履き心地にもご満足いただくことができました。 質感の異なる黒を組み合わせたこの一足は、オンオフ問わず様々なシーンでご愛用いただける仕上がりです。 O様、この度はありがとうございました。末永くご愛用いただけますことを心より願っております。
JOE WORKS受注会優先案内のご登録について
JOE WORKS受注会のお知らせ希望フォームにご登録いただきましたお客様には、受注会開催の準備段階で事前に候補日を幾つかご連絡させて頂きます。お客様のご都合の良いお日にちをお伺いした後、可能な限りご都合に合わせて開催日を調整させて頂きます。その後、正式に開催日が決まりましたら再度ご連絡を差し上げ、優先予約を承ります。優先案内にご登録のお客様と顧客様にご案内した後、当店のホームページとSNSで受注会開催の告知を行い一般のお客様のご予約を承りますので、その時点で予約枠が埋まってご希望に添えない場合もございます。当店では常時優先案内希望を承っておりますので、ご興味がございましたら是非ご登録くださいませ。
ジョーワークスのオーダーは常時承っております
当店ではジョーワークスの駒澤氏をお招きしての受注会を定期的に開催しておりますが、受注会以外でも、オーダーは常時承っております。店頭にはデザインサンプルとフィッテイングサンプル、革見本を常設しております。また店頭にないサンプルについては取り寄せでご用意することも可能でございます。どうぞお気軽にご覧くださいませ。














