H様には以前ジョーワークスのシューズのオーダーのご相談で初めてご来店いただきました。当店では、常時ジョーワークスのオーダーを承っているので、その時は私が採寸とフィッティングを担当させていただき、スプリットダービーのご注文をいただきました。1足目の仕上がりをお納めした後、H様から「デザインも大満足だけど、それ以上に完璧なフィット感に大変満足しています。」と大変嬉しいご感想を頂戴しました。2足目のオーダーはジョーワークスの駒澤氏による1足目の仕上がり確認も兼ねて受注会にご来場いただき、新たなシューズについてご相談いただきました。
ご来店前のヒアリング
1足目のシューズをオーダーいただいた後、H様は当店でスーツもオーダーくださいました。2足目にご検討のシューズのデザインはオーダーいただいたスーツと相性の良いレイジーマンを第一候補としてお考えでした。受注会ではリピートでのご注文となる為、1足目にお作りいただいたシューズの履き心地やお履きいただく中でのフィット感の変化などを何度も何度もお伺いしてきました。スプリットダービーとレイジーマンではフィッティングが変わってくる為、事前にその辺りの情報を駒澤氏と共有した上で受注会当日までに万全の準備をしてお迎えしました。
受注会当日
事前ヒアリングで2足目のデザインはレイジーマンに決めていらっしゃいましたが、カラーはブラックにするかブラウンにするかは迷っていらっしゃいました。駒澤氏からレイジーマンはスムースレザーが起源であることと、王道はブラックであるということをお話しさせていただきました。その上で最終的にアノネイのダークブラウンのスムースレザーをお選びいただきました。あえてのブラウンセレクト、流石です!
イミテーションのシューレースが付いたレイジーマンは履き口の両サイドがエラスティック(ゴム)仕様になっています。ゴムが伸縮することで脱ぎ履きが容易にできることがレイジーマンの利点です。H様から「履き口のゴムは伸びやすいのでしょうか?」というご質問をいただきました。ゴムなので絶対に伸びないということはありませんが、レイジーマンはゴム部分に革が付いているのでサイドゴアよりも丈夫で伸びにくいということ。また、ゴム交換は可能なので安心してお履き頂けることをご説明させて頂きました。そして、駒澤氏が10年近く愛用しているレイジーマンはゴムの伸びは全く気にならないということもお話しさせていただきました。
採寸&フィッティング
駒澤氏からデザインや革が変われば履き心地が変わる為、前回と同じ補正で良いとは限らないことや、デザインや革の性質に合わせて補正内容を調整することが大切であることをお話しさせていただきました。1足目にお作りいただいたデータはありますが、より快適にお履きいただけるようにH様にも改めて採寸とフィッティングにご協力をいただきました。H様は既製靴ではエドワードグリーンなどをお持ちですが足長が大きく甲に痛みがあるなどの悩みをお持ちです。足長と甲、幅などを確認しながら、改めて適切なサイズや調整方法を確認してお作りさせていただきます。
レイジーマンはレースアップシューズで例えるなら羽根が一番閉じた状態です。故に甲が当たりやすいデザインです。ですが、甲出しの補正が強すぎると中底が沈み込んだ時に甲が余ってしまいます。その場合、シューレースで足を固定できるデザインではないので靴の中で足が動いてしまい新たな当たりや痛みの原因に繋がります。それを防ぐ為に補正はあえて控えめでお作りさせていただくことをご説明させていただきました。仕上がり後、痛みがある場合はご納得いただけるまで何度でも無料で調整させていただくことも併せてお話しさせていただきました。
レイジーマン完成
程よいトゥシェイプでエレガントな雰囲気が特徴のドレスラストのjoe-0。レイジーマン特有のデザイン性の高さがブラウンカラーの効果と相まってクラシックながらも華麗で目を引きつけます。スーツスタイルにさり気なく華を添えるH様の狙い通りの仕上がりです。
革製のイミテーションのシューレースやエラスティック部分を革で隠すレイジーマン独自のデザインは、レースアップシューズのフォーマルな雰囲気とローファー感覚の履き心地や脱ぎ履きのしやすさを兼ね備えています。お作りいただいたスーパー160'sのネイビーとグレーのスーツやカシミア混のグレーヘリンボーンのダブルのスーツの足元にバッチリです!
ラバーソールはビブラムとダイナイトのご用意があります。両者の一番の違いは突起部の出っ張りでダイナイトは出っ張りが強くビブラムの方が控えめです。故にダイナイトソールのシューズは歩行時に突起の突き上げを感じるという方もいらっしゃいます。また、出っ張りが強い分、突起部が削れるのでビブラムに比べるとダイナイトの方が靴底の減りが早くなります。駒澤氏からこのようなご案内をさせていただいた後、H様にはビブラムの2055をお選びいただきました。
仕上がりご着用
シューズの仕上がりをお渡した後、お作りいただいたスーツとシャツ、それに合わせてお求めいただいたタイとコーディネートしてご来店くださいました。グレースーツのアクセントとしてブラウンのレイジーマンが効いています。クラシックなスーツスタイルの中に程よい華やぎと色気を感じます!
仕上がりご試着の際、「シュッ!」という靴の中の空気が抜ける音がして足にピッタリ合っていることが分かりました。H様からは「一足目同様、バッチリです」というご感想をお聞かせいただきました。その後、別件でご来店いただいた際にシューズの状況についてヒアリングをさせていただいたところ、多少、甲が当たって長時間履いていると少し痛みがあるけど我慢できる範囲。中底が沈み込んだ時に大きくなりすぎるのは避けたいのでもう少し履き慣らしてみるとお聞かせいただきました。私からは、調整はいつでも何度でも責任を持って対応させていただくことを再度お話しさせていただきました。お渡しから半年ぐらい経ったころに改めて状況をお伺いしたところ、「中底が沈み込んでもう痛みはない。こうも横幅もバッチリですごく履きやすいです」というご感想をお聞かせいただきました。
H様、この度はありがとうございました。末永くご愛用いただけますことを心より願っております。メンテナンスも責任を持って承りますのでいつでもお声掛けくださいませ。3足目はスエードシューズですね!(笑)