
2026年7月25日(土)・26日(日)にJOEWORKS代表の駒澤氏をお招きしての受注会を開催しました。当日はお客様へのご提案からフィッティングまでを駒澤氏にお願いしました。これまでの受注会では早々に予約枠が埋まり、折角ご参加のご連絡をいただいてもご要望にお応えできないこともあった為、今回も2日開催としてご予約枠を大幅に増やして皆様をお迎えしました。前回に続きJOEWORKSオーダーシューズ受注会にお越しいただいたお客様や優先案内をご希望のお客様の他、当店でスーツなどをオーダーのお客様で受注会にお越しになるのは初めてという方など、多くのお客様にご来場いただけ大盛況の受注会となりました。その様子をたくさんの画像を交えてご紹介いたします。少しでも受注会当日の熱気を感じていただくことができれば幸いです。
JOE WORKS受注会を開催する理由
当店では受注会以外でも、常時、JOEWORKSのオーダーを承っております。サンプルも常設してオーダーいただける体制を整えている中、何故、当店で受注会を開催するのかをお話します。根底にあるのが少しでも多くの方にJOEWORKSの革靴の良さをお伝えしたいという想いです。今まで受注会以外でご注文をいただいたお客様には現状を駒澤氏に直接確認いただくことで、履き心地の向上のためのお手伝いをしたいと思っています。実際にお履きになり感じたことを作り手に直接お話しいただくことで、更なる履き心地の向上にも繋がると考えています。そして、まだJOEWORKSの靴を履いたことがない方には、このようなイベントを開催することで知っていただくきっかけになればと考えています。このような想いの下、当店ではJOEWORKS代表の駒澤氏をお招きしての受注会を定期的に開催しております。
JOE WORKS受注会にご来場いただくメリット
最大の利点はオーダーをご検討いただく中での不安や疑問点を駒澤氏に直接ご質問いただけることです。疑問点が解消するのは勿論、作り手の顔が見えることや対話の中から靴作りへの考え方や真摯な姿勢を知っていただくことはお客様の心の安心感に繋がります。生産背景を含めた靴作りのストーリーを体験いただくことで、お客様だけの為にお作りするJOEWORKSの革靴がより特別な存在になります。
I様
毎回ジョーワークスの受注会にお越しいただいているI様。まずは、前回の受注会でオーダーいただいた2足の仕上がりをご確認いただきました。1足目は、ベビーバッファローでお作りいただいた3アイレットダービー。ベビーバッファローは、柔らかい風合いでありながらもしっかりとしたコシがあり、革が伸びすぎないのが特徴です。I様からも「厚みがあるのに柔らかくて、とても履きやすい」と嬉しいご感想をいただきました。今回は、これまでのフィッティング調整データを踏襲しつつ、羽根を開き気味のバランスでお作りしました。


続いては、スキンステッチのエプロンフロントダービーの仕上がりをご確認いただきました。I様はほっそりとした足型をお持ちなことに加え、このモデルは構造上、羽根が閉じ気味のデザインになっています。そのため、今回は羽根がバランス良く開くよう調整してお作りいたしました。結果として、狙い通りちょうど良い塩梅の開き具合に仕上がり、お客様にもお気に召していただけました。受注会でご覧いただいたサンプルから手の入れ方を変え、スキンステッチをしっかりと入れてお作りいたしました。手仕事ならではの味わいが増し、スキンステッチの立体感が際立つ仕上がりとなりました。


今回の受注会では、ハンドラインでのオーダーをご検討されていました。ジョーワークスでは、ハンドラインとして「フルハンド」と「九分仕立て」の2種類を展開しています。今回は双方のサンプルをご覧いただきながら、駒澤氏よりそれぞれの特徴や違いについて詳しくご説明させていただきました。大きな違いのひとつが、底付けの仕様です。九分仕立てがマシンで底付けを行うのに対し、フルハンドは出し縫いに至るまで手縫いで仕上げます。さらにフルハンドでは、先芯にも極限まで薄くすいた革を使用しています。また、つり込みの工程にも違いがあります。九分仕立てはアッパーとライニングをまとめてつり込むのに対し、フルハンドはライニングと先芯をそれぞれ別々につり込んでいきます。そのため、より足にフィットして引き締まったタイトな履き心地に仕上がります。I様にも実際にサンプルをご試着いただき、普段のグッドイヤーウェルテッド製法との履き心地の違いをご体感いただきました。



じっくりとご検討された結果、今回はシャトーブリアンのダークブラウンを使用し、ホールカットをフルハンドでお仕立てすることになりました。ジョーワークスのホールカットは5アイレットが基本デザインですが、今回はお客様より「かんぬきの位置を上げて4アイレットに変更したい」とのご要望をいただきました。 駒澤氏からは、「かんぬきの位置を上げる対応は可能ですが、羽根の開きが狭くなるため、足入れの感覚が大きく変わる点に注意が必要です」とお話させていただきました。そこで、レースアップのサンプルシューズを使い、かんぬきの位置を上げた状態を疑似的に再現。実際に足を入れ、フィーリングをご確認いただきました。履き心地の好みやお悩みを丁寧にお聞きし、足入れの状態を入念に確認した上で、こだわりの仕様でお作りすることになりました。
N様
優先案内にご登録いただき、今回初めて受注会にお越しくださったN様。もともとはスーツのオーダーをご検討されている中で当店のホームページをご覧になり、靴の受注会をお知りいただいたのがご来店のきっかけです。事前のヒアリングでブラックのストレートチップ、パンチドキャップトゥ、クォーターブローグをご検討中とお伺いしていたため、当日は該当するサンプルをご用意してお迎えいたしました。お仕事ではスーツを着用されないとのことで、結婚式などのハレの日に履ける一足をとお考えでした。一方で、「年に1〜2回しか履かないような一足にはしたくない。秋冬のジャケパンスタイルやコートスタイルにも合わせられるようにしたい」という、普段使いも見据えたご要望をお聞かせいただきました。

フォーマルな場面での着用を考えると控えめなデザインがベースになりますが、シンプルすぎるとジャケパンやコートスタイルには少し合わせづらくなってしまいます。そこで、駒澤氏より、パンチドキャップトゥをベースに羽根部分にもパーフォレーションを施すことで、程よい華やかさをプラスするスタイルをご提案させていただきました。お客様にも大変お気に召していただき、今回はラストJOE-0、素材にはシャトーブリアンのブラックを選んで、こだわりのパンチドキャップトゥをオーダーいただきました。


駒澤氏による採寸を行い、まずはラストJOE-0のサイズ65のサンプルをご試着いただきました。ベースのサイズ感はこれでジャストでしたが、土踏まず部分を少し押し出す補正が必要なこと、そして履き口が開いてしまう「笑い」と呼ばれる現象が見られたため、木型を調整してフィット感をさらに高める方向性をご案内いたしました。この履き口の笑いについては、N様が普段お履きになっている既製靴でも同様の症状が見られるとのこと。今回しっかりと木型補正を行うことで理想的なフィット感を目指します。

普段はオールデンの「7D」をお履きになっているとのことでしたので、まずはJOE-0のナローラストのサイズ7をご試着いただきました。しかし、このサイズでは足長に対して少々大きく、全体的にもゆるめのフィット感となったため、お客様からも「かかとが抜けてしまう」というご感想をいただきました。

続いて、ナローラストのサイズ65をご試着いただき、足入れの状態を確認いたしました。ご試着いただいた中では最もフィット感が高いサイズでしたが、お客様より「あまり攻めすぎたタイトなサイズ感にはしたくない」というご要望をいただきました。そのため、タイトな靴を馴染ませていくのではなく、通常ラストのサイズ65をベースに、木型調整で理想の履き心地へ近づけていく方法でお作りすることになりました。

アウトソールにはレザーソールをお選びいただきました。 仕上げは「ブラックソール」か「半カラス仕様」のどちらかでご検討されていました。ジョーワークスではどちらの仕様もお仕立て可能ですが、半カラスはオプション仕様となります。そこで駒澤氏より、「アウトソールは履いていくうちにどうしても地面と接する部分が擦れてきます。あらかじめブラックソールを選んでおけば、履き込むことで結果的に半カラスのような表情に変化していきますので、ブラックソールで十分ではないでしょうか」と、実用的なアドバイスさせていただきました。また、踵(トップリフト)の打釘についてもご質問をいただきました。ジョーワークスでは、ブランド立ち上げ当初よりも釘の本数をあえて減らして仕上げています。これについては「釘が多い路面で滑りやすくなる」というお客様からのお声を取り入れ、より歩きやすさを追求した結果である旨をお伝えしました。
N様

優先案内にご登録いただき、今回初めて受注会にお越しくださったN様。事前のヒアリングでは、ダイヤモンドキャップのレースアップをご検討中とお伺いしておりました。当日はアデレードのサンプルをご覧いただきつつ、写真を交えてダイヤモンドキャップのデザインをご案内いたしました。ラストは、ドレスラストのJOE-0(セミスクエア)と、トゥの角を削ってほんのり丸みを持たせたJOE-1のサンプルを見比べていただきました。じっくりとご検討された結果、今回はラストJOE-0にデュプイ社のシャトーブリアンを組み合わせ、アデレードのダイヤモンドキャップでお仕立てすることになりました。
デザインについては、踵のパーフォレーションのギザは無し、ダイヤモンドキャップは小ぶりなイミテーション、というこだわりのご要望を承りました。さらに後日、シュータン部分にもパーフォレーションを追加したいというリクエストをいただきました。当店では、ご注文いただいた後であっても、製作工程上の調整が可能な限り柔軟にご要望へお応えしております。
アウトソールは、レザーとラバーそれぞれの特徴をひと通りご案内させていただきました。履き心地や実用性などさまざまな観点からご検討いただいた結果、最終的にブラックのレザーソールをお選びいただきました。
普段はスコッチグレインの23.5cm EEE、または24cm E、カルミーナのシンプソン(5.5)、コルテのヴァンドーム(5)などをお履きになられており、それぞれ足に痛みが出ることにお悩みでした。駒澤氏による採寸を行ったところ、足の特徴とともに痛みの原因が明らかになりました。N様は実際の足長が25cmほどあるものの、大変ほっそりとした足型をお持ちのため、普段はサイズを下げて小さめの靴を選ばれていました。その結果、足長に対して短い靴を履くことになり、指の上が当たって痛みにつながっていたことをご説明させていただきました。靴に関する深い悩みを作り手である駒澤氏に直接ご相談いただき、その場で最適な解決策をご案内できる点も、受注会ならではの大きな醍醐味です。
M様

前回の受注会で初めてお越しくださったM様が今回も足を運んでくださいました。まずは、前回ご注文いただいたプレーントゥの仕上がりをご確認いただきました。甲の骨が当たりやすい足型をお持ちで、既製靴では甲の痛みに悩まされていたとのこと。その痛みを避けるため、これまでは本来の足よりも大きめのサイズを選ばれていました。スリムな足型でもいらっしゃるため、今回はナローラスト(Dウィズ)を採用し、さらにフルソック(全敷き)を敷く仕様でお作りいたしました。ご試着いただいたところ、懸念されていた甲の当たりもなく、スリムな足に心地よくフィットし、大変ご満足いただくことができました。



今回はホールカット、またはレイジーマンをご検討中とお伺いしていたため、当日は双方のサンプルをご用意してお迎えいたしました。お客様からは「雨の日でも履ける全天候型の仕様にしたい場合、撥水レザーを選ぶべきか、それとも通常の革に防水スプレーで対応するのが良いか」というご質問をいただきました。ちょうど受注会用にご用意していたデュプイ社の撥水レザー「プーマエイチ」の実物をご覧いただきながら、それぞれの特徴をご案内させていただきました。どちらが良い・悪いということではなく、撥水レザーは少しマットな質感が特徴となります。そのため、艶感を重視されるのであれば、通常の革をお選びいただき、防水スプレーでケアされる方法がおすすめです。ちなみに駒澤氏のおすすめはコロニルの防水スプレー。粒子が非常に細かいため革の通気性を損なわずに水の侵入をしっかり防ぐことができます。こうした特徴を踏まえてじっくりとご検討いただき、今回はシャトーブリアンのブラックを使用したホールカット(ラスト:JOE-1)をご注文いただきました。

雨の日でも安心して履けるよう、アウトソールにはラバーソールをお選びいただきました。ジョーワークスでは、ラバーソールとして「ダイナイト」と「ビブラム」の2種類をご用意しております。どちらもスタッズ(突起)のあるデザインですが、ダイナイトはスタッズがしっかり出ているのが特徴です。その分、ダイナイトならではのしっかりとした接地感が魅力ですが、履きはじめは足裏でその感触をダイレクトに感じる方もいらっしゃいます。一方でビブラム(#2055)は、スタッズの突起が控えめな分、摩耗が遅く長持ちしやすい傾向があります。どちらもグリップ力に優れていますが、強いて言えばビブラムの方がよりグリップ性を感じやすいと言えます(このあたりの感覚は人それぞれ好みも分かれるところです)。こうした特徴や履き心地の違いを踏まえてご検討いただき、最終的に「ビブラム #2055」をお選びいただきました。

一足目のプレーントゥの調整データはありますが、今回はホールカットでお作りするため、フィッティングが異なります。そこで再度、フィッティングサンプルをご試着いただき足入れを確認しました。前回はフルソック(全敷き)でお仕立てしましたが、ホールカットは構造上、羽根が開きやすいデザインです。そのため今回はバランスを考慮し、通常のインソールでお作りすることをご案内しました。前回のオーダー靴の仕上がりを駒澤氏がその場で直接確認し、その結果を踏まえた上で次のシューズについて相談できる点も、受注会ならではの大きなメリットです。実際にM様をはじめ、多くのお客様がこのプロセスを通じて、より完成度の高い一足へと繋げていらっしゃいます。
M様

いつも当店でスーツやジャケットをお仕立ていただいているM様。ジョーワークスではすでに2足のレイジーマンをオーダーいただいていますが、受注会へのご参加は今回が初めてとなります。事前にお伺いした際、今回は撥水レザーでのレイジーマンをご検討中とお聞きしていたため、当日は該当のサンプルをご用意してお迎えいたしました。お客様からは「ホールカットベースでレイジーマンを作ることはできますか?」とご質問をいただきました。これに対し駒澤氏からは、「パーツごとに切り替えがある方が、それぞれの革に適切なクセ付けを施せるため、フィッティングがより良くなります」と構造上の理由をご説明させていただきました。このプロの視点からのアドバイスにお客様にもご納得いただき、今回は通常のレイジーマンの型紙をベースにお作りすることとなりました。

ジョーワークスでは、レイジーマンの新型モデルとして、羽根が少し開きシュータンが付いたデザインが新たに加わりました。当日は新型の実物サンプルをご用意できなかったため、写真をご覧いただきながら仕様や雰囲気を詳しくご案内いたしました。お客様にも気に入っていただき、今回はこの新型モデルでお仕立てすることとなりました。通常、レイジーマンのトゥデザインはイミテーションのウイングチップですが、お客様のご要望により、今回は革の切り替えがある別パーツのキャップトゥへ変更。つま先のメダリオンは、ご用意のある4種類のデザインの中からお好みのものをお選びいただきました。さらに、履き口とヒール部分の親子穴をなくすリクエストをいただきました。都会的な雰囲気を持ったレイジーマンに仕上がりそうです。
事前のヒアリングで撥水レザーをご検討とお伺いしていたため、当日はデュプイ社のプーマエイチという撥水レザーのサンプルをご用意いたしました。プーマエイチは、革が水に濡れても内部の繊維がほぐれるのを防ぐ効果がある革です。当日は、実際に革見本へ水分を落とし、水滴を弾く様子や濡れた際にどのような表情や変化を見せるのかをご確認いただきました。


そのほか、ユタカーフやアルカザール、アルパインといった、水に強いシュリンクレザーやシボ革も併せてご紹介いたしました。その中で、お客様が特に強い興味を示されたのがベビーバッファローでした。 水牛(バッファロー)の革は本質的に水に強く、ベビーバッファローは部位によってシボの出方が異なるため、天然素材ならではの豊かな風合いを楽しめるのが魅力です。実際のサンプルで、その質感をじっくりとお確かめいただきました。ベビーバッファローの風合いを大変気に入られた一方で、「シボ革にすると、メダリオンやパーフォレーションが目立たなくなってしまうのではないか」という点を懸念されていました。これに対し駒澤氏より、「ベビーバッファローはシボが非常に細かい革なので、穴飾りが埋もれてしまう心配はありません」とお伝えしたところ、不安も解消されたご様子で、今回のアッパーレザーはベビーバッファローに決定しました。お客様からは、「ベビーバッファローは全く頭になかったけど面白いですね!」「これは受注会じゃないと出会えない情報ですね!」と仰っていただけました。受注会という場を心から楽しんでいただけて、私にとっても大変嬉しいひとときとなりました。
ラストは、セミスクエアのJOE-0と、ほんのり丸みのあるラウンドのJOE-1のサンプルを見比べながらご検討いただきました。M様は普段、当店でダブルのスリーピーススーツをお仕立ていただいていることもあり、そのエレガントなスーツスタイルとの相性を考慮され、よりドレス感を引き立てるJOE-0をお選びいただきました。

これまでにレイジーマンをオーダーいただいているため足型のデータはありますが、今回はラストが異なることもあり、改めて駒澤氏によるフィッティングを行いました。ラストとの相性も非常によく、大幅な補正は必要ありませんでしたが、左右の外側にほんの少し当たりが見られました。そのため、より快適にお履きいただけるよう、微調整を施してお仕立てすることとなりました。
K様


毎回ご夫婦で受注会にお越しくださっているK様。まずは前回の受注会でオーダーいただいたスエードのモンクストラップの仕上がりをご確認いただきました。今回はしなやかなジャヌスカーフをお選びいただいていたため、革の柔らかさを考慮し、通常よりも補正量を控えめにしてお作りしました。柔らかい革は履き込むとゆとりを感じやすいため、リピートのお客様であってもデザインや素材の特性に合わせて調整幅を最適化しているためです。全体的なフィット感は良好でしたが、ストラップ周りの馴染み具合についてお客様へお伺いしたところ、「それほど気にならないものの、いつもの穴の位置よりひとつ奥で留めた方がよりしっくりくる感覚がある」という感想をいただきました。そこで今回は靴を一旦お預かりし、ストラップ根元のゴム受け部分の長さを微調整した上でお渡しすることとなりました。お買い上げいただいて終わりではなく、こうした履き心地の細かな調整まで責任を持ってお応えできる点も、お客様に安心してオーダーしていただける理由だと思います。

普段はスーツをお召しになる機会が少ないK様。これまでの受注会でもジャケパンスタイルなどに合わせやすいカジュアルよりのデザインを中心にオーダーいただいておりました。一方で、スーツをお召しになる際のドレスシューズとしてはクロケット&ジョーンズをお持ちですが、カジュアルシューズのラインナップに比べると、少し手薄さを感じていらっしゃるご様子でした。そのため今回の受注会では、これまで通りカジュアルに履けるデザインにするか、それともスーツに合わせるドレスシューズをフルハンドラインにするかを熟考されていました。


駒澤氏より、ハンドラインの仕様について詳しくご案内させていただきました。ジョーワークスでは、ハンドラインとして「フルハンド」と「九分仕立て」の2種類をご用意しております。フルハンドは底付けまで全て手縫いで行うのに対し、九分仕立ては底付けの工程をマシンで行うのが大きな違いです。フルハンドは底付けの縫い目ピッチがとても細かく、ステッチ間の隙間がほとんどありません。さらに、ウエスト部分を絞り込む「ベヴェルドウエスト」の立体的な土踏まずに沿って縫い上げるため、非常に多くの工数と時間を要します。そのため、将来のオールソール交換作業は非常に難易度が高く、グッドイヤーウェルテッド製法に比べると費用や手間がかかります。そこで、あらかじめレザーソールにハーフラバーを貼り、ソール全体の交換ではなくラバーの貼り替えで対応していくメンテナンス方法もお伝えいたしました。一方の九分仕立ては、手作業で削り出した中底に手縫いでアッパーを吊り込んでいくため、アウトソールをマシンで縫い上げる仕様でありながら、履きはじめから非常に返りが良いのが特徴です。また、どちらのハンドラインも内部に詰めるコルクの量を最小限に抑えられるため、沈み込みによるサイズ変化が少ないので履き心地が変わりません。あわせて、グッドイヤーに比べるとより足への密着感が高くなる点についてもお話しました。

ハンドラインとグッドイヤーでどのくらい履き心地が異なるのか、実際にサイズ8のサンプルで履き比べていただきました。黒のサンプルがハンドライン、ブラウンがグッドイヤーです。ハンドラインは全体的に足へすっと密着する感覚があり、特に土踏まず部分がギュッとホールドされる感触をお確かめいただきました。このように双方を実際に履き比べていただくことで、仕上がりのイメージをより具体的に掴んでいただくことができます。こうした履き心地やフィッティングの違いを含めてじっくりとご検討いただいた結果、今回はグッドイヤー製法で普段のジャケパンなどに合わせやすいカジュアルなデザインにする方向性が決まりました。

デザインはエプロンフロントダービーに決まりました。ジョーワークスには3種類のラストがあります。セミスクエアのドレスラストJOE-0、カジュアルスタイルに合わせやすいラウンドトゥのJOE-6、そしてその中間に位置するほんのり丸みのあるJOE-1です。通常、カジュアルな装いにはJOE-1やJOE-6が合わせやすいラストです。K様のシューズはこれまで幅出しの補正を入れてお作りしているため、駒澤氏より補正を入れた際の見え方の変化についてご説明させていただきました。JOE-1で幅出しを行うと少し丸みが出て、JOE-1とJOE-6の中間ぐらいの見た目になります。補正後のシルエットを踏まえると程よい丸みが出るため、今回はラストにJOE-1をお選びいただきました。さらに、エプロンフロントのステッチ位置による見え方の違いについてもお話しさせていただきました。ステッチをつま先寄りに配置すると丸みが強調され、逆につま先から離すとシャープな印象に変わります。こうした作り手だからこそ知る細かな情報を直接聞くことができるのも受注会の楽しみのひとつです。


K様は春夏シーズンでもサンダル以外は基本的に革靴を履きたいとお考えでした。そのため、暑い時期でも重たい印象にならないコンビ仕様をイメージされていらっしゃいました。革見本をご覧になりながらさまざまな組み合わせをご検討いただきましたが、最終的には手持ちの服とコーディネートしやすい単色のアルパイン(ダークブラウン)をお選びいただきました。
K様

毎回ジョーワークスの受注会にお越しくださっているK様。まずは、前回の受注会でご注文いただいたタッセルローファーの仕上がりをご確認いただきました。K様からは毎回履き心地に関するフィードバックをいただき、微調整を重ねながら精度を高めてまいりました。今回も全体的なフィッティングは良好でしたが、より快適にお履きいただけるよう、一旦靴をお預かりして細かな調整を施すこととなりました。当店では、お買い上げいただいた後も安心して長くお履きいただけるよう、こうした細かな微調整まで責任を持って対応しております。

事前にブーツをご検討とお伺いしていたため、当日はサンプルをご用意し、ジョッパーブーツとチェルシーブーツをご試着いただきました。ジョッパーブーツにも興味を示していただきましたが、脱ぎ履きのしやすさを考慮され、最終的にチェルシーブーツ(JOE-0)をお選びいただきました。

お客様から「サイドのゴムの形状は変更できますか?」というご質問をいただきました。駒澤氏より、物理的には変更可能であるものの、ゴムの形状を変えると足入れに影響が出やすいためリスクが高いこと、もし変更する場合でもわずかな調整にとどめるのが望ましい旨をご説明いたしました。その理由にご納得いただき、今回は形状を変更せずに通常の仕様でお作りさせていただきます。


革選びでは、今回のブーツをデニムに合わせたいとお聞きしていたため、店頭のデニム生地の見本と実際に合わせながらイメージを深めていただきました。候補に挙がったのは、ネイビーのスエードとブラウンのミュージアムカーフの2点です。王道であればネイビースエード、イタリアらしい雰囲気のあるスタイルであればミュージアムカーフという選択肢の中で、じっくりとご検討いただきました。それぞれの特徴として、チャールズ・F・ステッド社のスエードは油分を含んでいるため水分に強く、以前よりもトーンが深いネイビーになったことでコーディネートがしやすくなった点をお伝えしました。また、ミュージアムカーフ(イルチア社のラディカ)のブラウンは、グレーがかったスモーキーな色合いで表情のあるカラーである旨をお話しいたしました。比較検討の末、最終的にブラウンのミュージアムカーフをお選びいただきました。

ライニングとアウトソールの選択では、ラバーソールをご検討でしたのでビブラムとダイナイトのサンプルをご覧いただきました。双方ともに優れたソールですが、構造上の違いとして、ダイナイトはスタッズが突起している分、摩耗が早い点や、歩行時にスタッズの感触を足裏で感じやすい場合があることをお伝えいたしました。そうした特性を踏まえ、今回はビブラムの2055ソールをお選びいただきました。ライニングはアッパーと同色系のブラウンを合わせ、全体をすっきりとまとめています。最後に駒澤氏より、脱ぎ履きをよりスムーズにするため、かかと部分にプルストラップ(引っ張り)を付ける仕様をご案内しました。
K様

いつも当店でスーツやジャケットをオーダーいただいているK様に初めてジョーワークスの受注会へお越しいただきました。事前にレイジーマンをご検討とお伺いしていたため、当日はサンプルをご用意してご覧いただきました。ジョーワークスのレイジーマンはイミテーションフルブローグが基本デザインですが、今回はコンビネーション仕様をご検討されていたため、つま先はシンプルなデザインへの変更をご要望いただきました。そこでパンチドキャップトゥの画像をご紹介したところ、最終的につま先は別パーツのパンチドキャップトゥ(メダリオンなし)を採用することになりました。あわせて、踵と履き口の親子穴もなくし、よりすっきりとしたシンプルなデザインに変更していただきました。
アッパーの革はデュプイ社のシャトーブリアン(ブラック)をお選びいただきました。ジョーワークスではワインハイマーなどのブラックのスムースレザーも扱っていますが、時期やロットによって品質のバラつきが生じることがあります。そのため、現在流通しているスムースレザーの中で推奨しているのがシャトーブリアンです。世界中の高級革靴メーカーでも採用されており、きめが細かくしなやかで耐久性にも優れています。

アッパーの革が決まり、次はコンビネーションに使用する革選びです。まずはエレファントレザーを使用したサンプルをご覧いただきました。ザラッとした質感が特徴でクロコダイルやリザードとはまた異なる独特の表情があります。レイジーマンに取り入れるとアクセントが効いた仕上がりになります。あわせて、控えめな表情のカルビンオックスもご紹介しました。じっくりご検討いただいた結果、つま先とかかとのデザインをシンプルにした分、エレファントレザーでアクセントを効かせる組み合わせをお選びいただきました。

ビブラムとダイナイトのソールを御覧いただきながら両者に違いを駒澤氏からお伝えしました。ともに世界的に有名なラバーソールですが、スタッズの突起が抑えられているビブラム2055をお選びいただきました。



次に採寸とフィッティングを行いました。ベースサイズは7で概ね良好ですが、幅がややタイトで左右ともに外側への当たりが見られました。特に左足の当たりがやや強めです。痛みの原因になりやすい箇所のため、今回は左右とも幅出しの木型補正を入れてお作りさせていただきます。
フィッティングサンプルをご試着いただいた流れでラストの違いについてお話ししました。ご試着いただいたサンプルは、セミスクエアのドレスラストであるJOE-0です。その隣に、JOE-0よりもつま先がややラウンドしたJOE-1を並べて比較していただきました。比較検討の末、よりオーソドックスなJOE-1をお選びいただきました。
Y様

優先案内へご登録いただき、今回初めて受注会にお越しくださったY様。当店のホームページに掲載しているハッチグレインのキャップトゥをご覧になり、興味を持っていただいたのがオーダーをご検討されたきっかけです。当日はその掲載シューズと同じサンプルをご用意し、手にとってじっくりご覧いただきました。お仕事で使えるドレスメインでありながら、少しはずした雰囲気も出したいとお考えで、最終的にハッチグレインのブラックでパンチドキャップトゥをご注文いただきました。
お仕事でお使いになることを想定し、ラストはセミスクエアのドレスラストであるJOE-0をお選びいただきました。またご要望により、つま先のコバ部分は削りを丸くし、あまり角張らないように調整してお作りすることになりました。

ジョーワークスのパンチドキャップトゥは羽根の部分がステッチのみのシンプルなデザインです。お客様の「ドレスでありながら少しはずしたい」というご要望を踏まえ、羽根の部分にさりげないアクセントを入れる仕様をご案内しました。通常、セミブローグの羽根には親子穴が入りますが、今回はその要素を取り入れつつ、控えめな印象になるよう小穴のみを配置するデザインをご案内しました。 ハッチグレイン独特の表情と相まって、ドレス感を損なわずにさりげない遊び心をお楽しみいただける一足に仕上がります。
お客様から「革のシボ感がどう伸びるかを見てみたいので、かかとをシームレスヒールに変更できますか?」というご相談をいただきました。仕様変更は可能なため、今回はシームレスヒールで承りました。お作りいただくシューズにより愛着を持っていただけるよう、ジョーワークスでは、こうしたデザインや仕様の変更にも柔軟に対応しています。


普段は三陽山長、Ruttshoes、スコッチグレイン、レイマーなどで26.5〜27.0cmを履いていらっしゃるとのこと。つま先が薄いためアッパーにシワが入りやすく、普段はサイズを下げて選ばれているそうです。また、長年の野球経験から足の内側にタコができやすいというお悩みもお持ちでした。駒澤氏による採寸を行ったところ、左右で足長が異なること、そして適正サイズは85であることが分かりました。


フィッティングサンプルは85をご試着いただきました。幅の感覚やタコのできやすい箇所の当たり、つま先の捨て寸などを一つずつ確認したところ、ベースのサイズ感は問題ありませんでした。ただ、グッドイヤー製法は履き込むことで中底が沈み、靴の内径が広がります。現状は左右で羽根の開き具合に差があるため、中底が沈んだときに左右でフィット感の違いが出る可能性がありました。そのため、中底の沈み込みを見越し、左右均等に羽根が開くよう木型補正を入れてお作りする旨をお伝えしました。
M様
優先案内へご登録いただき、広島県から初めて受注会にお越しくださったM様。今回はJOE-6のラストでローファーをご検討でした。その際、お手持ちのJ.M. WESTONのゴルフがなかなか足に合わないというお話をお伺いしました。サイズ75では踵抜けが顕著だったためサイズを下げて購入されたものの、今度は足が痛くて履けなくなってしまったとのことです。これに対し駒澤氏から、ウエストンをはじめとするフランス靴のヒールカップは直線的な形状が多く、構造上、踵が抜けやすい傾向があることをお話しました。一方、ジョーワークスのかかとは足に沿ってカーブを描く形状に設計されているため、日本人のお客様はもちろん、これまでヨーロッパのお客様でも問題は起きていない旨をお伝えしました。


あらかじめデザインはお決めいただいていたため、早速採寸とフィッティングを行いました。まずはJOE-6のサイズ75のローファーをご試着いただきました。適正な足長は8ですが、踵抜けを懸念されていたため、あえてワンサイズ下げて状況を確認しました。その結果、踵抜けは見られなかったものの小指が強く当たる状態でした。



次にJOE-6のレースアップ(サイズ8)をご試着いただきました。小指の当たりは和らいだものの右足にまだ当たりが見られました。続いてJOE-0のタッセルローファー(サイズ8)をご試着いただきました。片足のみのサンプルですが、店内を歩いていただき、踵抜けの具合を確かめていただきました。その結果、右足のみわずかに抜ける感覚がありました。ここで、お客様にサイズ感のお好みをお伺いしました。足長ベースで選ぶなら8が適正ですが、日頃ウエストンをお履きになっている場合、大きく感じられることもあります。そのため、よりフィットした着用感がお好みであれば、75をベースに幅と甲を木型調整で広げる方法もある旨をお伝えしました。これに対しお客様から、「ウエストンのフィッティングが合っているわけではないので、履き心地が楽なほうが良い」というご意向をお伺いしました。


改めて、JOE-6のレースアップ(サイズ8)をご試着いただきました。M様は足長に対してスリムな足型をされているため、つま先側が余りやすい傾向があります。サイズ8では前に余裕があったため、インソールを入れてフィット感を確認していただきました。その際、「歩行時の履きジワが足に当たる」とご感想をいただいたため、さらにインソールの厚みを調整して隙間を埋め、当たりの具合を確かめていただきました。

右足に比べて左足にやや隙間があったため、左右でインソールの厚みを変えて調整を行いました。全敷きと半敷きを細かく組み合わせてフィット感を調整したあと、再度ご試着いただき最終確認を行いました。一般的なMTO(メイド・トゥ・オーダー)では難しいこうした細かな調整も、ジョーワークスでは可能な限り対応しています。

アッパーの革は、アノネイ社のシャトーブリアンのブラックをお選びいただきました。一般的な顔料仕上げの革とは異なり、シャトーブリアンは本来の銀面がしっかりしていて、細かいシボ目が優しく光を反射する独特の表情が特徴です。またアウトソールについては、ビブラムとダイナイトのスタッズの違いについてお伝えしたうえで、突起が控えめなビブラム2055を選択いただきました。
F様



いつも受注会にお越しくださっているF様。まずは前回の受注会でオーダーいただいたタッセルローファーのフィッティングを確認しました。幅・甲ともに納まりが良く、履き心地にもご満足いただけました。そのうえで、駒澤氏から今回の調整内容について改めてお話させていただきました。レースアップは紐で甲を固定できるため履き始めから踵が付いてきやすい一方、ローファーは構造上踵が浮きやすい特徴があります。そのため今回はインソールの厚みを調整して甲のフィット感を高め、踵が抜けにくくなるよう補正を入れてあります。履き込んでアウトソールの返り(屈曲性)がついてくれば、より一層、踵が追従するようになります。


複数のご検討デザインがあり、今回はそのサンプルを可能な限りご用意して今後のオーダーに向けてイメージを膨らませていただきました。セミブローグでは、ダークブラウンのスムースレザーとスエードをご検討。お客様から「パーフォレーションを小さくできますか?」とご質問をいただいたため、小さく変更することは可能ですが、スエードの場合は穴が目立ちにくくなるため標準サイズがおすすめである旨をお伝えしました。あわせて、セミブローグをベースにかかとへ穴飾りを追加するカスタムも可能である点をご紹介しました。また、以前お作りいただいたブラックのダブルモンクを気に入っていただけていることから、同モデルのダークブラウン(スムースおよびスエード)も候補としてご検討いただきました。


スエードはチャールズ・F・ステッドをご覧いただきました。同社は世界的に評価の高いタンナーで、上質でありながらコストパフォーマンスにも優れています。スムースレザーでは、アノネイ社のシャトーブリアンをご覧いただきました。キメが細かくしなやかで、耐久性にも優れたカーフです。それぞれじっくりと比較検討していただきましたので、次回のオーダーに向けたご参考になれば幸いです。
受注会ではJOE WORKSの全てのラストと多くのデザインバリエーションがご覧いただけます
受注会ではJOEWORKSの全ラストのデザインサンプルを数多くご用意しました。フィッテイングサンプルは4ハーフ(22.5㎝)~10ハーフ(28.5㎝)まで取り揃えていますので、サイズ選びでお悩みの方にも十分に対応させて頂けます。
8回目となる今回は前回に続き2日間の開催となり、大変多くのお客様にご来場いただけ大盛況の受注会となりました。ご来場くださいましたお客様、本当にありがとうございました。また、今回もオープンの11時から夜遅くまでご対応いただいたジョーワークスの駒澤様、ご協力ありがとうございました。皆様に改めて厚くお礼申し上げます。
JOE WORKS受注会優先案内のご登録について
優先案内希望にご登録いただきましたお客様には、受注会開催の準備段階で事前に候補日を幾つかご連絡させて頂きます。お客様のご都合の良いお日にちをお伺いした後、可能な限りご都合に合わせて開催日を調整させて頂きます。その後、正式に開催日が決まりましたら再度ご連絡を差し上げ、優先予約を承ります。優先案内にご登録のお客様と顧客様にご案内した後、当店のホームページとSNSで受注会開催の告知を行い一般のお客様のご予約を承りますので、その時点で予約枠が埋まってご希望に添えない場合もございます。当店では常時優先案内希望を承っておりますので、ご興味がございましたら是非ご登録くださいませ。
ジョーワークスのオーダーシューズについて
当店ではジョーワークスの駒澤氏をお招きしての受注会を定期的に開催しておりますが、受注会以外でも、オーダーは常時承っております。店頭にはデザインサンプルとフィッテイングサンプル、革見本を常設しております。また店頭にないサンプルについては取り寄せでご用意することも可能でございます。どうぞお気軽にご覧くださいませ。













