ビジネスを取り巻く環境が激変した今、ありきたりのスーツでは物足りないというのがお洒落好きの想いで、今まで以上にスーツを着ることに意味が出てきているような気がします。こういった背景も手伝ってか、今、「ブラウンスーツが気になる!」という人が増えています。ビジネススーツの基本カラーであるネイビーとグレーに比べると趣味性が強いブラウンは、純粋にスーツを着ることを楽しめるカラーとしておすすめです。
オーダースーツ ドラッパーズ・カバートクロス
カバートクロスのイメージが変わるかもしれません
カバートクロスとは高密度の厚手の綾織り生地です。英国発祥で狩猟用コート生地として重宝され、雨を弾き傷が付きにくく、圧倒的な耐久性があります。このように元々はコート用の重くて硬い英国を象徴するヘビーな生地なので、軽さと柔らかさを好むイタリア好きの人には、一番縁遠い存在の生地だったと思います。ですが、今回のスーツに使用したのは、近代的に軽量化されたイタリア製のカバートクロスで、今まで、カバートクロスを避けてきたイタリア好きの人の心に刺さっています。
イタリア以上、英国未満 独特の素材感に惹かれる
セレクトしたのは、太い原毛を用いた440gのドラッパーズのイタリア製カバートクロスで、カバートクロス特有のはっきりした畝が無地の中に表情を与えています。メランジ調でも発色がクリアでとてもキレイで、単に英国的ではない新しさを感じます。440gというウエイトはイタリア製生地としてはヘビーで、英国的なテイストを香らせています。一方でイタリア生地らしい発色の良さと艶も持ち合わせていてます。イタリア生地よりは英国寄りで、英国生地よりはグッとイタリア寄り、このハイブリッドな感覚がこの生地の魅力で、これがイタリア好きの人に支持されている理由です。
ナポリ製スーツにみる拘りのディテール ダブルステッチ
カバートクロスなどの目付のしっかりした生地は仕立て映えするのでナポリのサルトに好まれています。装飾的なディテールのダブルステッチはナポリの職人の手仕事を象徴するもので、今回のカバートクロスの雰囲気と抜群にマッチします。よりナポリ製スーツのテイストを色濃くする為、ダブルステッチでお仕上げさせて頂いています。
ナポリ製スーツにみる拘りのディテール マニカカミーチャ
マニカカミーチャもナポリのスーツを代表するディテールです。肩回りが軽くなり軽快な着心地が得られるので、ソフトコンストラクションがお好みの人にはピッタリです。今回はお客様から「ナポリのハンドスーツのような雰囲気と着心地が欲しい!」というご要望を頂いたので、マニカカミーチャ以外に、袖のイセ量を増やして袖付けをハンドで行っています。さらに肩のイセ量を増やして着心地を向上させています。肩のイセ量を増やすと前肩のゆとりが増えるので着心地が軽く感じるんです。今回のような440gのヘビーウエイト生地のスーツに取り入れると着心地が劇的に軽くなります。
ブラウンスーツをブラックのタイで締める
ブラウン×ブラック、この合わせはイタリア人から見るとタブーだったりします。カラーコーディネート的に見ても、あまり推奨できる色合わせではないのかもしれませんが、だからこそ取り入れてみたくなるのがお洒落の醍醐味だと思いませんか?今回のスーツをご注文頂いたお客様は広告代理店の役員でいらっしゃるので、ある程度服装の自由度があますし、ファッション感覚的にも柔軟にご理解いただける方です。なので今回は、あえてブラウン×ブラックの挑戦的なスタイルをご提案させて頂きました。ブラウンの渋みをブラックで和らげ、ブラックのシャープさをブラウンで落ち着かせる、両社のメリットを活かし、デメリットを補うスタイリングです。
オーダースーツ スタイリング詳細
Bespoke Suit(オーダースーツ) : fabric by DRAPERS (ドラッパーズ)
Bespoke Shirt : LES LESTON (レスレストン)
Tie : Francesco Marino (フランチェスコマリーノ)
Chief : MUNGAI (ムンガイ)