ビジネスマンのスーツやジャケットは、デスクワークや移動時の座りシワなど着用によるシワは避けられません。中でもパンツのシワにストレスをお感じの方も多いのではないでしょうか。当店でもお客様から「シワになりにくい生地」というご要望を多く頂きます。過去のコラムで、シワになりにくいスーツやジャケットの畳み方、シワに強くて着回しできるスーツをご案内させて頂きましたが、今回は新たに21マイクロンという極太原毛を用いた圧倒的にシワに強い生地をご紹介させて頂きます。シワのないパリッとしたスーツやジャケットでスタイリッシュなビジネススタイルを楽しみましょう!
ビジネス生地の最上質を極めた「21マイクロン・ウール」
スーパー180'sとかスーパー200'sなど、ウールは繊維が細く、繊細であるほど高級と言われています。細い繊維のウールは滑らかな肌触りで抜群の高級感がありますが、反面非常にデリケートで着用シーンが限定されることもあります。21マイクロンウールは、極細繊維とは対極にある太い原毛です。繊維の細さというスペックを追い求めるのではなく、あえて太くて硬い原毛を用いて織り上げたウールです。ハリコシと膨らみ感がありながら硬すぎず重すぎない絶妙な風合いです。イタリア生地らしい美発色、耐久性やシワの復元力に優れる機能性まで備えています。さらに仕立て映えも抜群です。21マイクロン・ウールはビジネス生地の最上質を極めた服地です。その21マイクロン原毛を用いて織り上げたコレクションがドラッパーズの"ASCOT"というシリーズです。このコレクションは4プライと2プライの2種類のクオリティで構成されています。以下でその内容を詳しくご紹介させて頂きます。
しっかりした生地感でほぼシワにならない「DRAPERS "ASCOT" 4プライ」
4プライウールとは
4プライとは4本の糸を撚り合わせて1本の糸にしたもの。それを生地のタテヨコ両方向に使用して織り上げたのがこの生地です。一般的なイタリア製の生地はタテ糸に双糸(2本の糸を撚り合わせて1本にしたもの)、ヨコ糸に単糸(1本の糸)を用いて織り上げられます。ドラッパーズの4プライウールは、そのような一般的なイタリア生地の倍以上の糸を用いて織り上げた生地です。
驚異的な防シワ性と仕立て映え
この生地最大の魅力は驚異的な防シワ性です。使用する糸量が多いということは、それだけ生地にハリコシと膨らみ感があってシワになりにくくなります。ドラッパーズの4プライは、そのハリコシが圧巻です。オフィスでのデスクワーク時は、ジャケットの袖、パンツの腰廻りやヒザなどはシワになりやすいですが、この生地は1日着用してもほとんどシワになりません。全くシワにならないということではありませんが、圧倒的にシワになりにくいですし、シワになっても直ぐに復元します。私自身、この生地のスーツを着用していますが、この防シワ性にはすごく驚きました。本当にスゴイです!そして、生地に張力があるので仕立て映えし、軽く柔らかな仕立てと好相性です。パンツのシルエットがキレイに出るのも魅力です。
重さを感じない絶妙な塩梅
この生地のウエイトは370gです。230g前後の一般的な春夏用のウール生地と比べるとしっかりしています。ですが、実際にスーツに仕上がって袖を通してみると重さを感じません。硬すぎず重すぎずの絶妙な風合いで、丁度良い塩梅に仕上げられています。この辺りがイタリアの生地メーカーの上手さだと思います。イタリア目線の英国生地といった感じなので、イタリア生地がお好きな方にも受け入れて頂きやすいでしょうし、英国生地がお好みの方にもご満足いただける機能性を持っています。
着用期間の長さとおすすめの仕立て方
通気性に優れドライタッチのこの生地は、ヨーロッパでは春夏生地として着られています。日本の気候の場合、真夏を除いた春夏ベースの通年生地としてお召し頂くのが便利です。以下に4プライスーツを最大限お楽しみ頂く為の仕立て方と季節ごとの着用期間についてお話しします。
4プライスーツを長く着用する為のおすすめの仕立て方
4プライの魅力は「涼感があるけど長く着られる」ということです。普通は涼感=夏用生地なので着用期間がある程度限定されますが、4プライの場合は370gのしっかりした目付けがあるので長く着られます。このような生地の特徴を最大限に活かせるのが「スリーピース」で仕立てることです。具体的には、冬から春に季節が向かう寒さが残る時期にはスリーピースで着用する。そして、暖かくなってきたらベストは着ず2ピースで着用する。そして、季節が秋から冬に向かうころには再度スリーピースで着用するといった具合です。このような理由から、当店では「スリーピース」をおすすめしています。
春夏シーズンおすすめの着用期間 2月中旬ごろ~梅雨明け前ぐらいまで
2月から4月の冬から春への季節の変わり目の時期。日中は暖かい日が少しずつ増えるものの朝晩は冷えます。冬物では日中暑いですし、春物だと朝晩が寒いので何を着るか迷いますよね?そんな時、この「4プライス―ツはすごく便利です。ドライタッチにより適度な涼感がありつつ、4プライによるどっしりした生地感があるので良い意味で涼し過ぎないので冬から春への季節の変わり目には最適です。勿論、4月以降も梅雨明け前ぐらいまでは着用できます。
秋冬シーズンおすすめの着用期間 9月中旬ごろ~12月中旬ぐらいまで
暑さが少し和らいでくる9月以降はスーツを楽しみたい気分になってきます。そのタイミングだと季節的には春夏のスーツで問題ありませんが、気分的には秋物を楽しみたい頃だと思います。そんな時は再び4プライスーツの出番です。残暑が残る9月中旬から10月初旬ごろは、先ず2ピース(ベスト無し)で着用します。真夏ほど暑くないこの時期は4プライの持つ程よい涼感が心地よく感じられます。そして気温が下がり始める10月中旬以降はスリーピースとして着用して、更に気温が下がってきたらコートを羽織れば真冬近くまでは着用できます。
4プライスーツを着用しにくい季節
このようにとても便利な使い方ができる4プライスーツですが、私個人としては着用をおすすめしにくい季節があります。こういったことも正直にお伝えした方が良いと思うのでお話しさせて頂きます。先ずは真夏です。涼感がある生地ですが370gの目付となると流石に真夏に着用するとかなり暑いです。真夏でも空調の効いた室内でのお仕事が中心の方ならさほど問題ないと思いますが、炎天下を歩く機会が多い方には2プライ生地の方がおすすめです。 次は真冬です。370gと目付がしつかりしているので秋冬でも着られますが、平織りで通気性に優れているため、どうしても真冬は寒いです。コートを着用すれば寒さは凌げますが、コートで隠れていない膝下に寒さを感じます。ただこれも真夏の時と同様、室内でのお仕事が中心の方ならよほど問題ないですが、外を歩く機会が多いお仕事の方はスパッツを履くなどの対策をお考え頂くのがよろしいかと思います。
ドラッパーズ "ASCOT" 4プライの生地バリエーションご紹介
DRAPERS 『ASCOT』4PLY ウール100% 370g
生地の特徴
- 圧倒的な防シワ性と耐久性
- 着用期間の長さ
- 仕立て映え
ドラッパーズ "ASCOT" 4プライを使用したオーダースーツ仕上がり事例
4プライウールのネイビー無地でオーダー頂いたお客様のスーツの仕上がり事例をご紹介させて頂きます。生地に張力があるので袖やフロントの折り返り部分や袖に膨らみ感が生まれて立体的に仕上がります。
以上がドラッパーズ4プライシリーズです。続いては2プライシリーズをご紹介させて頂きます。
ウール100%なのに伸びて快適!「DRAPERS "ASCOT" 2プライ」
2プライウールとは
続いては2プライシリーズをご紹介させて頂きます。2プライとは2本糸を撚り合わせて1本の糸にしたもの(双糸)。それを生地のタテヨコ両方向に使用して織り上げた生地です。これは英国生地に見られる製法で一般的にはどっしりした質感に仕上がりますが、ドラッパーズの2プライは軽くしなやかな風合いをお楽しみ頂けます。
優れたシワ回復力とストレッチ性
タテ糸ヨコ糸ともに、強い撚りをかけた2プライ糸を用いることでハリコシが生まれ高い防シワ性を実現しています。また、強度が高くストレッチ性にも優れているのでデスクワークの多い方や移動や出張の多い方におすすめです。優れたストレッチ性により着席時に窮屈感を感じることはなく、腰廻りのシワやヒザ抜けも大幅に軽減されるので安心してお召し頂けます。
軽やかで優れた通気性
強い撚りをかけた2プライ糸を平織りしたこの生地はサラッとしたドライタッチが特徴です。粗くザックリ織り上げてあるので肌離れが良く、素肌と服の間に隙間ができて風を通すので、とても涼しいです。
セットアップ感覚で着られる
ドラッパーズの2プライウールは、そのザックリした質感から上下バラシてセットアップ感覚で着られるのも魅力です。ビシッとしたスーツのタイドアップ以外にノータイやインナーポロのビズスタイル、ジャケット単品使い、パンツ単品使いなど、一着で幅広いスタイルがお楽しみ頂けます。紺無地とグレー無地でスーツを作って、それぞれをスーツとして活用する以外に、紺無地スーツのジャケットとグレー無地スーツのパンツを組み合わせてジャケパンスタイルをお楽しみの方もいらっしゃいます。
夏はジャケットを脱ぐ機会が増えますが、ジャケットを手に持ったり、車や新幹線の座席に置いていたらシワになってしまった。そんな経験はないですか?その点、防シワ性に優れた2プライなら安心です。必要な場面でサッとジャケットを羽織ってスマートに着こなして頂けます。着こなしの幅が広がり、且つ、防シワ性、清涼感、ストレッチ性といった夏のビジネスウェアに必要な機能が全て備わっているので、とても使い勝手が良いというお声をたくさん頂いています。
着用期間の長さとおすすめの仕立て方
通気性と防シワ性に優れたこの生地は春夏生地としては最適です。蒸し暑い日本の気候を考えた場合、個人的には一番の選択だと思っています。盛夏用におすすめできる生地ですが、意外なことに生地の目付は250gと合い物生地ぐらいのウエイトです。一般的な盛夏生地よりも分厚く重いということではなく、良い意味でペラペラに見えないので春夏は勿論ですが、秋口の着用にも向いていると思います。以下に2プライスーツを最大限お楽しみ頂く為の仕立て方と着用期間についてお話しします。
2プライスーツを長く着用する為のおすすめの仕立て方
2プライスーツは基本的には春から盛夏に着用するのに最適な生地ですが、250gという目付からも分かるように肌寒さが残る春先と気温が下がり始める秋口にも対応できます。そういった用途としてもお召しになられる場合、当店では「スリーピース」をおすすめしています。理由は4プライの時と全く同じです。具合的には、春先はスリーピースで着用し、夏にはベストなしの2ピース、若しくは上下単品使いしてドレスダウンして、秋口には再びスリーピースで着るといった具合です。
おすすめの着用期間 3月中旬ごろ~梅雨明け前ぐらいまで
スリーピースの場合なら3月中旬ごろから春の装いに取り入れられます。まだ肌寒さが残る時期ですがベストを挟むことで保温性を保つことができます。4月以降、梅雨明け前ぐらいまではその日の気温に応じてベストの有り無しで温度調整できるので便利です。
おすすめの着用期間 梅雨明け後~盛夏
梅雨明け後、暑くなってからがこの生地の本領発揮です。この時期のスーツは2ピース(ベストなし)での着用が基本になります。タイドアップ以外にもノータイのスーツスタイルとも相性が良いのでカジュアルシャツやポロを合わせてスーツのドレスダウンが楽しめます。またスーツの上下をそれぞれ単品使いすれば着こなしの幅が広がります。例えばネイビーでスーツを作った場合なら、スーツの上着をネイビージャケット単品使いしたり、グレーでスーツを作った場合なら、スーツの上着を単品使いして白パンと合わせたり、スーツの組下を単品使いして手持ちのネイビージャケットに合わせたりと自在な着回しが楽しめます。
おすすめの着用期間 9月中旬~10月下旬ごろ
残暑が残る9月には2ピースとして着用し、気温が下がり始める初秋以降はスリーピースとして着用すれば秋口まで有効活用できます。
2プライスーツの使い方について
2プライスーツの着用期間と仕立て方についてお話ししましたが、着る季節や着こなし方は人それぞれです。スリーピースの事例をお話ししましたが、春夏のスーツとして着用したい場合は2ピースもおすすめです。私の場合、「春夏用の着回し自在なスーツ」という位置付けで捉えているので2ピースで作成してパンツのバリエーションを揃えています。幅広い使い方に対応できるのも2プライスーツの魅力です。
ドラッパーズ "ASCOT" 2プライの生地バリエーションご紹介
DRAPERS 『ASCOT』2PLY ウール100% 250g
生地の特徴
- 素晴らしいシワ回復力とストレッチ性
- 軽やかで優れた通気性
- 上下バラシて着られる
ドラッパーズ "ASCOT" 2プライを使用したオーダースーツ仕上がり事例
2プライシリーズでオーダー頂いたお客様の仕上がり事例をご紹介させて頂きます。生地はチャコールグレーのマイクロハンドトゥースとライトグレー無地で、ともにお手持ちのネイビージャケットに合わせることを考慮し、パンツ単品として使いやすい色柄をお選びいただきました。
私が実践している2プライスーツの楽しみ方
私自身、この生地でスーツと単品パンツを作って愛用しています。こちらがブラックスーツ着用時の画像です。スーツのジャケットは芯なしでパンツはドローコード仕様にしてセットアップ感覚で着用しています。上下バラシて着られる素材感なのでスーツのインナーにはリネンシャツを合わせてスーツのドレスダウンを楽しんでいます。この生地はクラシックさと軽妙さのバランスが絶妙なので、こういったリラックスしたスーツスタイルとも好相性です。勿論、ビシッとキメたい時はタイドアップしてドレッシーにも着こなせます。
左のスタイルではブラックスーツのパンツを単品使いしています。スーツスタイルの時とジャケットを変えているだけですが印象が変わりますよね。最小限のアイテムで着こなしのバリエーションが広げられるのもこのスーツの魅力です。
そして、実際に着用してみて感じたことをお話しさせて頂きます。通気性が良くて肌触りがサラッとしているので圧倒的に涼しいです。そしてストレッチがとてもいい塩梅で、着ていてすごく楽ちんです。シワにもなりにくいので特にパンツは快適です。
グレースーツ
シンプルで飽きが来ず、尚且つ、着回し自在のスーツが欲しくてグレーでダブルのスーツを作りました。この生地の色違いのブラックスーツはスポーティーな仕様にしたので、グレーは芯有りでドレス感のある仕立てに。キッチリしすぎるとドレスダウンしにくくなるので腰はアウトポケットにしてリラックスした雰囲気をプラスしています。コーディネートは春夏のタイドアップというところを意識して、白場の多いブラックのストライプのタブカラーシャツにアットヴァンヌッチのグレーのウールホップサックタイを合わせようと思います。春夏のタイドアップなので重たく見えないよう全体を淡いトーンで纏めることを意識しています。
グレースーツの組下は、単品パンツとして活用しています。サファリジャケットに合わせたり、ネイビージャケットに合わせたり、ドレス・カジュアル問わず色々なスタイルに取り入れて楽しんでいます。前述のように、パンツの快適さは癖になるので夏場はついついこればっかり履いてしまいます。
ベージュ&ミディアムグレーの単品パンツ
この2プライはパンツ生地としてもかなり優秀です。春夏はジャケットスタイルが増えるのでベージュとミディアムグレーでパンツ単品を買い足しました。これを手持ちのブラウンジャケットに合わせて着回しを楽しんでいます。
私はウールのベージュスラックスをコットンパンツ感覚でコーディネートに取り入れています。ウールのドレス感がありながら、程よいリラックス感があるのでとても使いやすいんです。タイドアップしてもリラックスして見えますし、ジャケット&ポロ合せはくだけすぎない上品さがあります。リラックスして過ごしたいけど、節度ある上品なスタイルは保ちたいという時には最適です!
春夏は合わせるアイテムが薄い色や明るい色が増えるので、秋冬よりもやや薄いグレーのスラックスの方が使いやすいかな?と思います。春夏に使いやすいダークグレーという位置付けで私はミディアムグレーをセレクトしました。同じブラウンジャケットを合わせていますがベージュのスラックスに比べると落ち着いた着こなしが楽しめます。パンツの色が変わると随分とコーディネートのイメージが変わりますよ。
以上のように私はこの2プライでスーツ・パンツを作って着回しを楽しんでいます。特に夏になるとこの生地のスーツやパンツばかり着用したくなります。涼しいし、長時間座っていてもシワになりにくいし、ストレッチなので楽ちんだし、快適すぎて他の生地の服を着るのが嫌になってしまうほどです。(笑) もし宜しければ一度お試しくださいませ。きっとお気に召して頂けると思いますよ!
ドラッパーズの"ASCOT"はビジネスマンの強い味方です
ドラッパーズの"ASCOT"はビジネスマンの強い味方です。長時間のデスクワークや移動でスーツがシワシワに・・・という心配が大幅に軽減されるので、安心してビジネスに集中していただけます。そして、どんな時でもスマートな着こなしをしたいというお洒落心も満たしてくれます。店頭には仕上がりサンプルのご用意がございますので、ご着用の場面を明確にイメージして頂けると思います。是非、お気軽にお問い合わせくださいませ。