
イタリアのピアチェンツァが手掛ける「アラシャン ブリーズ」は、目付180gという圧倒的な軽さと、最高峰のアラシャンカシミヤ特有の品格を兼ね備えた稀有な素材です。 驚くような軽さがある一方で、生地にはカシミヤらしい柔らかさと、純白の原毛だからこそ出せる上品で奥深い発色があります。 私自身がこの生地でジャケットを仕立て、日々袖を通すなかで、その本当の価値をあらためて実感しています。数ある素材のなかで、なぜこのアラシャンカシミヤがこれほどまでに魅力を備えているのか。その理由を具体的にお話しします。
なぜ、ピアチェンツァのアラシャンカシミヤは唯一無二なのか

アラシャン ブリーズは、カシミヤ・シルク・リネンの三者混で織り上げられたジャケット生地です。ここで使われているカシミヤは、カシミヤのなかでも最高ランクとされるアラシャンカシミヤです。
過酷な環境が育む最高峰のクオリティ
アラシャンカシミヤは、中国の内モンゴル西部、アラシャン地区という特定の地域に生息するカシミヤ山羊から採取されます。夏は40度以上、冬はマイナス30度にもなる極めて厳しい環境のなか、その寒さを凌ぐために蓄えられた産毛こそが原料となります。カシミヤの中で最も繊維が細くて長く、純白で光沢があるそのクオリティは、毎年最高価格で取引されるほどです。
純白の原毛が可能にする色彩
この素材の大きな特徴は、原毛そのものが純白であることです。一般的なウールは、漂白しても真っ白にはならず生成り色が残りますが、純白のアラシャンカシミヤは色の染まりが非常に綺麗です。他の高級カシミヤやウールとはまた異なる、濁りのない澄んだ発色が生まれるのは、この原毛の白さがあるからこそです。
選ばれたメーカーのみが扱える希少性
アラシャンカシミヤは採取量が限られているため、容易に入手できるものではありません。この原料を購入する権利は、CCMI(カシミヤ及びキャメル製造業者協会)の会員のみに与えられています。会員はブルネロ・クチネリなど世界でも20社に満たない一部の企業に限られており、その一員であるピアチェンツァだからこそ、この希少な原料を毎年安定的に確保できるのです。
目付180gという驚異的な軽さと技術
カシミヤの中でも最も細いアラシャンカシミヤの糸を、さらに細引きして強度を保ちつつ、目付180gというシャツ生地に匹敵する軽さに仕上げるには、極めて高い技術を要します。まさに「風(BREEZE)」を感じるほどの軽やかさは、世界でもピアチェンツァにしか成し得ないと言われています。日本ではロロ・ピアーナが圧倒的な知名度を持っていますが、この技術力を誇るピアチェンツァは、イタリア本国で最高級カシミヤメーカーとして揺るぎない評価を得ています。
アラシャン ブリーズの全容を動画でご紹介 全60色柄を詳しく見る
アラシャン ブリーズは、すべて目付180gという驚異的な軽さを共通項としながら、糸の組成と織りの表現が異なる三つのシリーズで構成されています。静止画だけでは伝えきれないコレクションの全容を、動画にて公開いたしました。60色柄におよぶ多彩なバリエーションとともに、アラシャンカシミヤならではの柔らかな風合いや、光を受けて浮かび上がる上品な発色を、ぜひ動画を通じてお確かめください。
60% CASHMERE, 32% SILK, 8% LINEN(チェック:15色)
アラシャンカシミヤの滑らかな肌触りに、シルクの艶とリネンの清涼感がほんのり加わったクオリティです。最高級素材ならではのラグジュアリーな質感の中に、程よくリラックスした雰囲気を持ち合わせています。
60% CASHMERE, 32% SILK, 8% LINEN(ホップサック:17色)
春夏の定番であるホップサックを、贅沢にもアラシャンカシミヤで表現したシリーズです。一般的なウールや三者混のホップサックは多くのメーカーに見られますが、それらをカシミヤに置き換えることで、圧倒的なラグジュアリーさを獲得しています。ホップサック特有の軽やかさをカシミヤで楽しめる、極めて希少なクオリティです。
49% SILK, 34% CASHMERE, 17% LINEN(無地:28色)
アラシャンカシミヤの滑らかな風合いに、リネン特有のスラブ(節)による凹凸感が加わったクオリティです。高級素材であることをあえて声高に主張せず、自然でこなれた印象に仕上げられています。控えめななかにセンスが光る、大人に相応しいシリーズです。
私自身の選択。王道のネイビーと、高揚感をもたらすサックスブルー
私はこれまでアラシャンブリーズでビスポークとMTMで自身のジャケットをオーダーしています。 ここでは私のオーダーしたジャケットをご紹介させていただきます。
最高峰の素材をビスポークの着心地で愉しむ


ネイビージャケットは、時流に左右されない王道のアイテムです。いつでも作れるという安心感から後回しにしていましたが、長く付き合う一着だからこそ、今回は最高峰の素材と仕立てでその普遍的価値を形にしたいと考えました。私が選んだのは、シルクとリネンの風合いが際立つ「49% SILK, 34% CASHMERE, 17% LINEN」の無地です。シャツ生地に匹敵する180gという驚異的な軽さを誇りながら、リネン特有のネップ(節)が絶妙な「抜け感」を演出します。最高級素材でありながら、決して決めすぎない、大人の余裕を感じさせる生地です。 仕立てには、ナポリ伝統の「2面体」を採用しました。前身頃から脇までを一枚のパーツで構成し、豊かなボリュームと抑揚のある立体感を生み出しつつ、マニカカミーチャを組み合わせることで軽快な着心地を追求しています。細部のディテールに至るまで自身の理想を投影し、クラシックな骨格を保ちながら「今、着たい」と思える現代的なバランスの一着をビスポークで愉しむ。それがこのジャケットの核となります。
※実際の仕立てとこだわりの詳細は「ビスポーク・ネイビージャケット」のコラムへ
アラシャンカシミヤだからこそ出せる色を自分仕様のMTMで愉しむ


メンズのカラージャケットにおいて、発色の美しさは素材の質に比例します。私が求めた「淡く上品なサックスブルー」を具現化するために選んだのは、アラシャン ブリーズのなかでもカシミヤを60%使用したチェックシリーズ(60% CASHMERE, 32% SILK, 8% LINEN)です。アラシャンカシミヤを原料とするこの素材でしか出せない透明感のある色彩は、ビジネスシーンに確かな清潔感と高揚感をもたらします。
この繊細な魅力を引き出すため、仕立てはMTMによる軽快なアンコン仕様を選択。独自の芯地加工や手縫いのニュアンスを加えることで、驚くほど軽い着心地と、ジャケットとしての端正なフォルムを両立させました。袖を通すたびに身体を包み込む柔らかな質感には、素材本来の風合いを存分に味わうための、私なりの挑戦を凝縮させています。
※実際の仕立てとこだわりの詳細は「ビジネス・サックスブルージャケット」のコラムへ
まずは直接生地に触れ、仕上がりサンプルでその真価を実感してください
最高峰のアラシャンカシミヤを、60色柄という圧倒的なバリエーションで揃えました。 これほどの選択肢が一堂に会する生地バンチは世界的に見ても極めて稀です。 これだけの色柄があれば、お客様の好みや着用シーンに最適なものが、きっと見つかるはずです。 私がこの素材をおすすめするのは、単に希少なアラシャンカシミヤだからではありません。実際に自分でオーダーし、日々袖を通すなかで「これはいい」と心から感じたからこそ、自信を持ってご案内しています。 まずはこの軽さを、そして柔らかなカシミヤが身体を優しく包み込む唯一無二の着心地を体感してみてください。 店頭には、私が実際に着ているジャケットを仕上がりサンプルとして用意しています。着用しているからこそ分かる質感や馴染み具合など、どんなことでも聞いてください。私自身の率直な感想をお話しさせていただきます。 皆様からのご相談をお待ちしております。













