今回は、僕の「オーダースーツへの想い」をお話しさせて頂けたらと思います。 こんな事をお話するのは気恥ずかしいですが・・・ どうぞお付き合い頂けたら幸いです。
オーダースーツへの想い
オーダースーツで生きていく覚悟
選択と集中。 僕はこの言葉の意味を、ひとつの事に集中して、それ以外は削ぎ落すとことだと理解しています。 小さなお店には特に必要な考え方なのかもしれませんが、実際に実行するとなると相当な勇気が要ります。 粋で言うなら、オーダーに特化すること。 以前は既製品の品揃えをしていましたし、年2回、イタリア出張にも出向いていましたが、 数年前から、そういう事を思い切って全部やめました。 既製品の取り扱いや、イタリア出張は決して無駄ではありませんが、 限られた時間・お金をどうやって有効に使うかを考えた時、優先順位が違うと思ったんです。
オーダースーツ専門店として一番大切なのは知識と技術
僕の実家は昭和初期に創業したテーラーなので、 幼少期から服作りに関することは祖父から手ほどきを受けていましたが、 日々様々な体型のお客様に接する中で、もっと深くオーダースーツについて知りたいという思いがありました。 しかし、僕にオーダースーツ作りのイロハを教えてくれた祖父は残念ながら亡くなってしまいましたし、 誰かに教えを乞える状況ではなかったので、色々な書籍を読み漁っていました。 そんな時、知り合いからの紹介で80歳の大ベテランの職人さんに出会うことができ、 それ以降、定休日を利用し、職人さんの元に出向き、改めてスーツ作りを勉強し直しています。 今は多くのオーダースーツ店ができて、気軽にオーダースーツを楽しめるようになったのは良いことですが、 プロとしての責任が希薄になり、知識や技術がなおざりになっているような気がします。 そして、周りを見渡せばどこも価格競争しています。。。
イタリアのスーツのような雰囲気と匂いを持ったオーダースーツをお届けしたい
正直にお話しすると、僕は昔、オーダースーツに全く興味がなく、 アルマーニ、ゼニア、ヒルトンタイムなど、イタリアの既製品のスーツやジャケットを着ていました。 そして、アパレル業界への就職もテーラーではなく、セレクトショップでした。 家業がテーラーだと言うこともあり、それに対する反発心のようなものもあったのかもしれませんが、 イタリアの服の雰囲気や匂いが大好きで、毎日それに接したいという思いが強かったのかもしれません。 それから紆余曲折があり、今ではオーダースーツの魅力に取りつかれていますが、 僕のオーダースーツへの基本的な考えは、イタリアの既製品を着た時に感じた雰囲気と匂いがベースにあり、 柔らかな仕立てと軽い着心地、そして艶のあるモダンなスタイリングを大切にしています。 幸いなことに僕には、テーラーに必要な知識と技術は祖父からの教えと今の師匠からの実践的な指南があり、 セレクトショップで働いていたことで磨かれたファッションセンスという強みがあります。 これからも本物を追求して、お客様に最高のオーダースーツをお届けしたいと考えています。