前回から新たな企画として立ち上げた「スーツの奥深き世界 オーダースーツ フィッティング」。 オーダースーツはどのようにして体に合わせていくのか、既製品と比べてどこが違うのか? そんな疑問にお応えする為に、お客様にオーダー頂いたスーツやジャケットのフィッティング時の画像を交え、 普段、僕がスーツのどこをチェックしているのかをお話ししながらビフォーアフター形式で、 仕上がり具合をご紹介していきます。
オーダースーツ フィッティング
ジャケットのファーストフィッテイング・バックスタイル
一番最初にゲージサンプルをご試着いただいた時の写真です。 ここで見るべきはポイントは2つあり、袖のシワとヒップ上部(腰)の当たりです。 この現象には様々な要因が考えられますが、その中で的確な原因を探し当てて、 修正を行う必要があります。
ジャケットのセカンドフィッテイング・バックスタイル
ゲージサンプルをご試着頂いた状況を踏まえた補正を施して仮縫いを行いました。 チェックポイントであった袖のシワとヒップ上部の当たりは解消されているのがお分かり頂けると思います。 補正による型紙の変化で背幅が少し狭くなった為、仮縫い時は背の上部に引きシワが出ていますので、 この状況を踏まえ、最終的な本縫いに取り掛かります。 また、仮縫いでは裏地が付いていない為に滑りが悪いので、そういったことも考慮する必要があります。
ジャケットのファーストフィッテイング・サイドスタイル
一番最初にゲージサンプルをご試着いただいた時の写真です。 横から見ると袖のシワがより分かりやすいと思います。 そしてよく観察してみるとベントが浮き気味になっていて、キレイにまっすぐ落ちていません。 後ろの状況と横からの状況を確認すると、この現象の要因が明確になるので、 それに合わせた体型補正を施していきます。
ジャケットのセカンドフィッテイング・サイドスタイル
ゲージサンプルをご試着頂いた状況を踏まえた補正を施して仮縫いを行いました。 袖のシワはなくなり、ベントもキレイに真っすぐ落ちているのがお分かり頂けると思います。 また、ゲージサンプル試着時から袖を少し細くして、スッキリした印象に仕上げました。
ジャケットのファーストフィッテイング・フロントスタイル
一番最初にゲージサンプルをご試着いただいた時の写真です。 ここで見なければいけないは、右胸の浮きとフロントボタンの引っ張りシワです。 寸法不足など様々な要因が考えられますが、人の体の肉の付き方は千差万別、十人十色で、 お客様の体をよく観察し、どの部分に肉が付いているのかを見極める必要があります。
ジャケットのセカンドフィッテイング・フロントスタイル
ゲージサンプルをご試着頂いた状況を踏まえた補正を施して仮縫いを行いました。 胸の浮き、フロントの突っ張りが解消されているのがお分かり頂けるでしょうか。 ウエスト寸法に関しては、全体を単純に大きくするだけではダブついてしまうと思いましたので、 寸法を大きくしてはいますが、前身頃と後身頃のバランスを変えて体にフィットさせています。 今回は前身頃の寸法を重点的に大きくする方法を採っています。 お客様の好みとのご相談ですが、本縫いではあと少しゆとりを入れてお作りさせて頂きます。
今回のオーダースーツ フィッティングについて
他にも細かなところはたくさんありますが、 今回のスーツはこのようなことに気を付けてフィッテイングしました。 ゲージサンプルご試着時の様々な現象には、ひとつひとつ理由があります。 そして、補正による型紙の動きで、仮縫い時には新たな現象も起きています。 本来ならその理由までご説明すべきかもしれませんが、 そうなるとどんどん専門的な内容になってしまうので、あえて割愛させて頂きました。