Column

ナポリスタイルの最高級オーダージャケット　DRAPERS "CASHMERE"(ドラッパーズ "カシミヤ")

オーダージャケット

DRAPERS(ドラッパーズ)には、毎シーズン、 "Special luxury cloth"という、他のコレクションとは、クオリティの異なる高級素材コレクションが存在します。今回ご紹介するジャケットの素材は、Loro Piana(ロロピアーナ)製のシルク52%・カシミヤ48%で、 DRAPERS(ドラッパーズ)のエクスクルーシブファブリックです。使用するカシミヤ原毛は、内モンゴル産の一等級。カシミヤ原毛は品質毎に等級分けされていて、最上級の品質なのが一等級です。この一等級のカシミヤ原毛は、誰でも購入できるわけではなく、 CCMIという世界でも極一部のメーカーしか所属できない協会のメンバーのみに許された特権なんです。 DRAPERS(ドラッパーズ) "Special luxury cloth"で展開されるシルクカシミヤは、その世界最高品質のカシミヤに極細のシルクを巻き付けた生地で、最上級の素材でしか表現できない艶・滑り・発色が味わえます。

大人の魅力を代弁するイタリアンクラシックスタイル

誠実かつ、流行も楽しめる　ダブル6ボタン段返り

今回採用したモデルは、ダブル6ボタン段返り。往年のムービースターを彷彿させるとてもクラシックなスタイルです。 6ボタン段返りのダブルジャケットは、一番下のボタンを留めますので、Vゾーンが深くなります。デザインのバランス上、そうなると必然的に襟の角度が下がり、ゴージ位置も下に移動します。段返りになっていない一般的なダブル６ボタンと比べると、とってもクラシックな趣です。ビジネスウェアのカジュアル化が叫ばれる一方で、実は服好き(スーツ好き)の人たちは、よりクラシックなスタイルに魅力を感じ、興味を持っています。

クラシックの中に香るモダンな味付け

ただクラシックなスタイルであれば良いとは思いません。粋-iki-の考え方の根幹にあるのは、"モダンなスタイル"です。クラシック＝不変ではなく、時代に合わせて変化・進化しないと懐古趣味になってしまうと思います。とかくオーダー業界は、そういった考え方が未だに蔓延していますが、それって衣服的な考え方でファッションではないと思うんです。今回の6ボタン段返りジャケットにも、粋-iki-らしいモダンな味付けを行っています。具体的には、ゴージ位置を上げたのですが、実はプロト(原型)として作成したモデルは、もっとゴージ位置が下です。イタリアンクラシックに、モダンさと色気を感じさせるのが粋-iki-のスタイルです。

ナポリのハンドメイドに負けない着心地

ナポリのサルトが作り出す軽く柔らかな着心地は、クラシックスタイルをモダンに導く大切な要素です。この素材は雲のようにソフトで軽く、それでいて滑らかで光沢も備えていて、その特長を活かすには、それ相応の仕立て方があります。肩のイセ量を増やして前肩に仕上げることで着心地を向上させる独自の技法、更に、ハンドにより袖付けと柔らかな肩回りのマニカカミーチャを加えてあります。これにより肩回りの運動性が向上し、且つ、軽い着心地が得られます。更に増し芯をすることなく胸の立体感を表現した独自の技術も取り入れ、ナポリのサルトが作るフルハンドスーツさながらの着心地に仕上げてあります。

ジャケットの邪魔をしない品の良いタイドアップ

大人の魅力を代弁するこのクラシックスタイルのジャケットを着こなすとき、上品さを強く意識することが重要だと思います。王道の"アズーロエマローネ"で纏めたこのスタイルは、シャツ＆タイの柄も極力少なめを心掛けました。でも、シンプルを意識するがゆえ、シャツ＆タイとも無地にしてしまうと、モダンさや色気という視点では物足りなくなってしまいます。ジャケットの素材感と柄を引き立てる為、シャツは極細のサックスブルーのヘアラインストライプをセレクト。全くの無地ではないので適度な躍動感がありますし、それでいて、ジャケットを引き立ててくれます。そして、ここからが一工夫なんですが、タイは大柄の個性的なものをチョイスしました。シャツで落ち着かせている分、タイで少し遊んだほうが、モダンなスタイリングになると思います。この他、タイドアップ以外にもカジュアルに着こなすのもお薦めなので、そちらは後日ご紹介します。